「カーボンニュートラル(カーボンフリー)」って何のこと?
カーボンニュートラル(カーボンフリー)という言葉を最近よく耳にする。しかし、その意味を説明できる方は少ないのではないだろうか。
環境問題やサステナビリティに密接な関係があるこの言葉。
地球温暖化の影響を肌身で感じるようになってきた今こそ、その意味をしっかりと理解しておきたい。
この記事では、カーボンニュートラルの意味や現状、具体的な取り組み事例について説明していきたい。
カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルとは、「ライフサイクルの中で、二酸化炭素の排出と吸収がプラスマイナスゼロ」の状態のこと。(出典:一般財団法人環境イノベーション情報機構)簡単にいってしまえば、二酸化炭素の排出される量と消費される量が釣り合っている状態を表している。
例えば植物は、光合成の際に二酸化炭素を吸収し、酸素を排出している。それに対して人間は日々呼吸によって二酸化炭素を排出するほか、工場や自動車などあらゆるところから二酸化炭素を排出している。こうした2つの反する状態がプラマイゼロになっているイメージを覚えておいてほしい。
従来のような化石燃料の利用では、この均衡は保つことが難しく、バイオマスエネルギーの利用などに切り替えて初めて、カーボンニュートラルな状態を達成できるのだ。
カーボンニュートラル先進国デンマーク
デンマークの首都であるコペンハーゲンは2025年までに、デンマーク全体としては2050年までにカーボンニュートラルを達成すると目標を掲げている。もしこの目標を実現すれば、世界初のカーボンニュートラル達成国となる。
例えば、デンマークの電力の33%以上は陸上および海上の風力発電機で賄われているという。経済産業省資源エネルギー庁の公開している資料によると、日本は2017年の時点で90%近くの電力を化石燃料による発電でまかなっており、デンマークがいかにカーボンニュートラルという領域において進んでいるかがお分りいただけるだろう。
こうした、デンマークの環境に対する姿勢は、デンマークの伝統的な考え方であるヒュッゲに通じるところがあるように感じる。ヒュッゲは人として生きる事を大切にし、幸せを感じる生き方。ヒュッゲな生き方を実現するためにもサステイナブルな環境作りは欠かせないのだろう。
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日本の現状
2019年11月下旬の環境省の発表によると、日本の二酸化炭素排出量は12億4400万トンで5年連続減ダウン。算定が始まった1990年度以降、最少を記録している。理由は、省エネ機器や再生可能エネルギーの普及、火力発電の割合が減少したことが大きいそう。
ただ、環境省が発表している、2030年の二酸化炭素目標値は9億2700万トン。まだまだ目標には程遠い。
東京都は2019年12月に、2050年にまでに二酸化炭素ネット排出量をゼロつまり、カーボンニュートラルな状態を達成しようという戦略「ゼロエミッション東京戦略」を発表した。この戦略はパリ協定にて目標とされた気温の上昇を1.5℃に抑えることを、世界的都市の責務として達成するために策定されたもの。具体的な目標について、現状の問題やこれからの方針と共に説明されている。
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二酸化炭素排出量を減らす取り組み事例
スウェーデンのフィンテック企業「Doconomy」
スウェーデンのフィンテック企業「Doconomy」が開発したのは、二酸化炭素排出量が一定量になると、利用制限がかかってしまうクレジットカード「DO」。二酸化炭素排出量を見える化することで、環境問題に主体的になれるアイテムだ。
スイスのコカ・コーラHBC社
世の中の二酸化炭素排出量に関する取り組みは「排出量を少なくしよう」というコンセプトのものばかり。逆に、「二酸化炭素使ってなんかつくればいいじゃん」という考えたことがある方も多いはず。
スイスのコカ・コーラHBC社の「VALSER」という商品は、空気中の二酸化炭素を使って作られた炭酸水。炭酸水に使われる二酸化炭素を空気中から得ることで、製造過程に発生する二酸化炭素とプラマイゼロに近づくはずっていうアプローチ。
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