英国教会が模索中の「ジェンダーニュートラルな神」の姿とは

何千年もの間、キリスト教における神は「人類の父」であると信じられてきた。揺るがず貫かれた認識だが、ジェンダーの平等が問われる現代、その波は宗教観にも、少なからず影響を与えているようだ。

先月、イングランド国教会が、神を指す語として「ジェンダーニュートラルな表現」を認める可能性を検討中であることが明かされた。

英『ガーディアン』紙によると、英教会は今春にも専門の議会を設置し、代替表現を模索する意向であるという。

神を指す語としては、千年以上に渡って「父」や「彼」といった男性的な表現が使用されてきた。人類の父たる神の姿は、教典や芸術での姿も含め、単なる指示語以上の意味を持つものだ。国教会の広報はこう語る。

「神を“性別を超えた存在”として認識することは、何も新しいことではありません。古来から、キリスト教徒は神が性を持たないことを認識してきましたが、必ずしも礼拝に反映されてこなかったのです」

フェミニズムの観点からすれば、神をジェンダーニュートラルな呼び方にできることは素晴らしい進歩。しかし、16世紀以降イングランドの骨幹を担ってきた国教会の規則を改訂することは、安易ではない。

実際、保守派からは「呼称の変更は、教会の教義そのものを破棄することになる」と批判の声が上がっている。

いわく「神が“父”と呼ばれているのは、意味を変えずして“母”に置き換えることはできないし、意味を変えずして“親(性別を示さない)”とすることもできない」とのこと。

伝統と革新──難しい問題だが、議論が進むこと自体が、時代を象徴する前向きな出来事と言えるだろう。

教会は、通例の典礼を廃止したり大幅に改訂することは全く考えていないそうだが、果たして、この問題はどう決着するのだろうか。

委員会の動向に注目だ。

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