「妊娠する/しない自由」が保証される社会へ、また一歩前進!【フランス】

「バースコントロール(Birth Control)」という言葉をご存じだろうか?

女性が、これからのライフイベントを考慮したうえで、妊娠・出産のタイミングを選択することである。「避妊」と訳されることもあるが「妊娠する/しない、産む/産まない自由を、女性とパートナーとで守る」という意味合いが強いように思う。

一般的な方法としては、男性用コンドームが広く普及しているが、破れたり外れたりと、避妊成功率は100%ではない。

より高い確率でコントロールできる選択肢として、経口避妊薬(ピル)、子宮内避妊具(IUD)なども用意されているが、基本的に保険適用外のため、いかんせん高額なのだ。

たとえばピルの相場は、1ヶ月あたり約2500円〜3000円。IUDは約15000円〜40000円。金額面以外にも、副作用や違和感など、肉体への負担も少なくない。

それならこっちの方が手軽だし……と、コンドームや膣外射精という方法をとった結果、望まないタイミングでの妊娠が起きて、心身にダメージのかかる人工中絶の選択が迫られることになる。事実、日本で昨年報告された人工妊娠中絶数は、14万5340件。そのうちの約32%が未成年〜24歳だ。

さて、ところ変わってフランスでは、来年1月1日から、25歳未満の女性に向けた避妊具処方、診察や検査を含むすべてのケアの無料提供が始まる。

公共放送局「France 2」での発表に際して、Olivier Veran保健相はこう語った。

「女性が自分の身を守るための避妊にはお金がかかりすぎます。女性が避妊を望んでいてもそれが叶わないのは、受け入れがたいこと」

対象年齢が、これまでの15〜18歳(2013年施行)、15歳未満(2020年施行)に続いて拡大された背景には、これまでの成果と若年層の経済的不安があるようだ。

公式発表によると、15歳〜18歳の妊娠1000件あたりの人工妊娠中絶件数が、2012年〜2018年にかけて9.5件から6件に減少しており、避妊具提供には望まない妊娠(に伴う中絶)を防ぐ一定の効果が見込まれるとのこと。ちなみに25歳以上でも、避妊にかかる費用は保険適用となり、約65%が払い戻されるんだとか。

バースコントロールも妊娠・中絶・出産も「病気ではない」として健康保険が適用されない日本。いやいや、少子化を憂うなら、手を入れるべきはまずココでしょう。

女性が快適に生きていくうえで必要なのに、個人のお財布に委ねられていたモノといえば生理用品もあるが、そちらは今年から各自治体での無料配布が続々と始まっている。

近い将来、バースコントロールへの支援も拡充されることを期待しつつ、世界事情のサーチと発信を続けていく。お楽しみに!

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