「書く」が私たちを紡ぐ

サウナ大好き作家・岩田リョウコさんと、サウナをこよなく愛する女優・清水みさとさん。

ふたりがどのようにサウナを日常に取り入れ、どんなサ活を楽しんでいるのか。気になりますよね? そこで、ふたりのサウナな日々を「交換日記」に綴ってもらいました。

今回は、リョウコさんからみさとさんへ──。

岩田リョウコ

文筆家、イラストレーター。アメリカ在住中に出版したコーヒー本『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』が全米ベストセラーに。世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でサウナ・スパ健康アドバイザーの資格を持つ。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ!クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない!』、『HAVE A GOOD SAUNA! 』『ちょっとサウナ行ってきます』。近著に『直訳やめたら英語が一気にできるようになった私の話』。
SNS:@ilovecoffeejp

みさとちゃんへ

 

この交換日記は、わたしたちがはじめて自分で積極的に動いて始まった連載でした。これまでわたしは好きなことをただ続けていたら、いつの間にかそれが仕事になっていたり、声がかかったりして色々なことが動いてきていました。

遊んでいるように見えますが、これもお仕事中。©岩田リョウコ

この受け身な姿勢は、みさとちゃんとわたしの数多くの共通点のひとつです。受け身であっても、巡ってくる時にしっかりそれを逃さないこと、そして与えられたものは一生懸命やるタイプではあります。そこは“受け身界”にいながらも誇りを持ってやっているところかもしれません。

そしてTABI LABOでの『サウナ交換日記』は2022年9月、10回の約束で二人で交わす日記形式の連載としてはじまりました。それが続くことなんと2年。今回のわたしの日記で69回目になります。

次は70回。そして、ちょうどキリのいい2年で一旦締めようということになりました。

ごはんが大好きなことも共通点です。©岩田リョウコ

この交換日記でみさとちゃんははじめて「書く」を仕事にして、この2年で執筆の仕事が増えて、「書く」ことがみさとちゃんを構成するもののひとつになりました。

みさとちゃんはこれまでたくさんの本を読んできて、そしてたくさんのことに触れて、考えてきて、きっとそれを出す準備はずっとできていたはずだけれど、こうしてここで書くという形で表現する場所ができて、そしてそこにわたしも一緒にできたことはとてもうれしいことでした。

わたしは年に一度、大学生たちに「好きを仕事にする」を題材に講義をしています。4年前講義の依頼を受けるまで、自分の「好き」がどう仕事になってきたのか、正直考えたことがなかったです。だって、好きなことを続けていたらそれがいつの間にか仕事になってきたから。

なんでも食べてみる、食べたことないものは調べる!©岩田リョウコ

学生にそれを教えるにあたって、自分がどうやってこれまで選択・決断をしてきたのかを見つめ直してみました。すると、本当にただ何もせずに好きでいただけではなかったことがわかりました。

 

好きを仕事にする、と聞くと好きなことだからがんばって売り込むとか、それに関わるところへ就職するとか、起業するとか、結構大きなステップを思い浮かべると思います。でも「好きなこと=仕事」でそれに向かって行動するって、かなりのコミットでエネルギーが要りますよね。だから踏み出せないし、失敗が怖くなる。当然です。

では、なんでわたしの「好き」は仕事になっていったのか……。わたしの好きは、仕事にしようとなんてさらさら思っていないところからはじまっていることに気づきました。だから踏み出せるし、怖くなかったんだなって思います。


例えば「コーヒー」です。
コーヒーが好きになって、いろんなコーヒーショップを巡って、コーヒーのトリビアや知識が増えていきました。その時、たまたまウェブのプログラミングとイラストを習っていたので、練習でコーヒーのことをウェブで、イラストで書き始めただけです。自分のために。

毎日コーヒーのことを調べて、イラストでそれを表現して、コードを書いてアップする。ただその作業が楽しくてやっていただけでした。すると、だんだんサイトへの訪問者が増えて、ニュースに取り上げられるようになり、出版社から声がかかって書籍化したという流れです。

できたてほやほやの新刊の原稿を読んでくれているふたり。©岩田リョウコ

こんな結末になるなんて思ってもみませんでしたし、これまでの人生で一度も「本を出したい」と思ったことがなかったのに、そうなってしまった。だから、好きを「仕事にした」のではなく、好きが「仕事になってた」が正しいです。

好きだから、とにかくずっとコツコツ自分のためだけに続けていたこと、自分が楽しいからやっていたことがわたしの場合、全部仕事になっています。これはみさとちゃんも同じですよね。

でも、好きだから続けられるし、誰にやれと言われたわけでもないので、プレッシャーもありません。何かその先に狙ってることがあるわけでもないので、やめたければやめればいいし、続けたければ続ければいい。

食べてばっかりのわたしたち。©岩田リョウコ

ただ、もう少し大きく考えてみるとわたしには共通した大きなミッションがあるように思えてきました。「私が好きなものの魅力を人に教えたい」が、すべての根底にあるような気がします。それがたまたま「書く」という方法になっただけだったみたいです。

でも、その「書く」のおかげで、サウナで知り合ったわたしたちが一緒に連載をすることになったわけなので、なんだかんだで書く仕事をしていてよかったなと思っています。

そしてこれからも、自分の好きの感覚を大切にして、それが自然と仕事になっていけばそんな幸せなことはないって思います。ただ、ここぞという時にはやっぱり自分から動き出す勇気と軽やかさは必ず持っておきたいと思っています。わたしがこれを忘れかけていたら、ちゃんと教えてください!

古き良き喫茶店から高級天ぷら店まで、わたしたちの食はオールジャンル!©岩田リョウコ

長く続いた交換日記。これノートだったら何冊分くらいになってるんでしょうね? 長い間ありがとうございました。と言っても、毎日のようにメッセージでやりとりしているので、わたしたちの言葉の“交換”は続いて行くんですけどね。とても楽しく、自分の気持ちに向き合ったり、形にならない感情を言葉にして整理するという機会をもらえた2年間でした。

長い交換日記ノートの最後のページ、みさとちゃんどうぞよろしくお願いします。


P.S. 二人一緒の写真を探していたら、本当に食べてる写真ばっかりでした。おいしいものを食べて、おしゃべりして、笑って、いつだって幸せです。

🧖‍♀️リョウコとみさとの「サウナ交換日記」🧖‍♀️

バックナンバーはこちらから

👇👇
👇👇
👇👇

Top image: © 岩田リョウコ
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。