忘れても思い出せるように「記す」
サウナ大好き作家・岩田リョウコさんと、サウナをこよなく愛する女優・清水みさとさん。
ふたりがどのようにサウナを日常に取り入れ、どんなサ活を楽しんでいるのか。気になりますよね? そこで、ふたりのサウナな日々を「交換日記」に綴ってもらいました。
今回は、みさとさんからリョウコさんへ──。
俳優、タレント。サウナ好きが高じて、「サウナイキタイ」ポスターモデルをはじめ、ラジオ「清水みさとの、サウナいこ?」(AuDee/JFN全国21局ネット)のパーソナリティーを務め、TBS「世界ふしぎ発見!」など多方面で活躍中。近著に『サウナのぷりンセス』。
リョウコさんへ
わかります、人って“忘れる生き物”ですよね。
忘却って良いも悪いもどちらも兼ね備えてて、もう生きていけないと思うほど恥ずかしい思いをしたのにすっかり忘れていたり、忘れたくない出来事をこれまたきれいさっぱり忘れていたりする。
その辺をうまいこと操って生きていけたらいいのに、世界がAIだなんだってどんどん進化していてもそこだけはそうもいかないし、さすが神様だなと思ったりします。
昨日食べたもの、昨日行ったサウナだって、ころっと忘れていることだってあるし、子どもの頃、よく母に「さっき言ったのに」と言っていた記憶を発掘した日には、あぁ、その節は本当にすみませんでした!と頭を下げたくなります。
今年の1月から、訪れたサウナを忘れないように、毎日Googleカレンダーにサウナをメモするようになりました。
色分けをしてメモしているんですが、なんでもっと早くやっておかなかったんだろうと、はや過去の自分に後悔するほど、いい記録になっています。
自分が忘れてしまうなら、文明の利器に頼りまくるべし!
こうして統計を取ってみると、自分が銭湯のサウナに足繁く通っていることが一目瞭然でした。
東京銭湯の「スタンプラリー」をやっているから新しい銭湯に行きたがる節もありますが、やっぱり、好きだからいくんですよね。
わたしがパーソナリティーを務めるラジオ番組『清水みさとの、サウナいこ?』が4年目になりました。
昨年まで半蔵門にあるTOKYOFMで収録をしていて、その帰り、時々散歩がてら四ツ谷のほうまで歩き、「塩湯」という銭湯に寄り道していました。
大正時代に創業した、四ツ谷唯一の銭湯で、入り口の渋い看板が堂々としすぎていて、大好きでした。
ただ、番台の位置と、鏡の反射で、ともすると番台から女性側のお風呂場が、角度によっては見えるんじゃない?と思うソワソワ感がありましたが、それも時代の名残り(許せる)。
そんな塩湯が、閉店したことを最近知りました。
しかも、TOKYOFMに行かなくなった翌月には閉店していたらしく、衝撃を受けました。それまで、普通に営業していたから。失うって、こんなにも予兆がないんだ。
しゃべり疲れて、リセットがてら入るサウナは妙に温度が高くて、その後に入る水風呂は気が抜けるくらいぬるくて、しばらく入っていないと体が芯から冷えてくれなくて、新宿通りの行き来する車の風をめいっぱい浴びながら帰ることもないんだなぁと思うと、悲しいです。
悲しいのに、きっと忘れてしまうんだろうと思うと、もっと悲しいから、ここに記録しておきます。いつか「サウナ交換日記」を遡ったとき、たまたまこの記事が開いたら簡単に思い出せるから。
これぞ、記憶蘇らせスイッチ。
忘れちゃう話だったはずだけど、書きながら、今わたしどこにいるんだろうと思いながら。では。