現役女子大生、インドの奇祭「ラクダ祭り」に飛び込んでみた話

インドレストランでのアルバイトをきっかけに、まんまと“インド沼”にハマってしまった筆者が、さらなるディープなインドに迫っていく連載企画。

今回は、知る人ぞ知る砂漠の熱狂イベント「ラクダフェスティバル」についてご紹介。未知なる祭りを直接この目で確かめるため、私はインド行きを決めました──。

“ラクダの街”で開催される
砂漠の祭典「ラクダ祭り」とは?

©2024 NEW STANDARD

インド西部ラジャスタン州に位置する小さな街ビカネール。インド最大の砂漠「タール砂漠」を有する乾燥地帯で、移動手段や家畜としてラクダは欠かせない存在。当たり前のようにラクダが道路を闊歩する、そんな街です。

そこで毎年1月、計3日間に渡って開催されるのが「Bikaner Camel Festival」。初日のラクダパレードやカーニバルから始まり、2日目はラクダレースやラクダダンス、ラクダアートの部。そして最終日は、来場者参加型の綱引き大会やターバン巻き大会などが行われます。地元民はもちろん、世界各国から何万人もの観光客がラクダの“晴れ舞台”を目当てにビカネールにやってくるんだそう。

目玉はラクダの毛刈り大会
「ラクダアート」

ラクダフェスティバルのなかで、どうしてもコレだけは見逃すわけにはいかない。ビカネールを訪れた最大の目的、それがラクダアートです。

耳にしたことない方がほとんどでしょう。ラクダアートとは、ラクダの体毛を刈りあげて模様を描き出す芸術表現のこと。毛のカッティングによって色の濃淡をつけ、伝統的なデザインを施していく。そんな魅惑のアートがインドには古来から存在するのです。

実は、ある日本人女性が人生をかけ「ラクダアートの大会」に挑んでいることを知りました。昨年、テレビで観た私は心の底から感銘を受け、西インドの片田舎まで遥々やってきてしまったというわけ。なにはともあれ、その素晴らしき世界観をご覧ください。

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まさかこんな大きなラクダの体に、これほど繊細で美しい模様が描かれるとは、誰が想像できたでしょう。まるで絨毯のようでもあり、ドレープを纏っているかのよう。精巧な技量に思わすうっとりしてしまうほど。

なんでも、デザインの制作期間は1ヵ月を要するらしく、朝から晩までラクダとともに過ごし、信頼関係を築きながらすこしずつ紋様を仕上げていくんだそう。我々が想像する以上にラクダは賢い動物で、人の顔もちゃんと覚えなつくようです。愛くるしい。

そんなラクダと人が織りなすラクダアートの集大成が、このラクダフェスティバルの地で披露されます。ラクダそのものの体格に合わせたデザインや、いかに地域の伝統や野生動物を盛り込めるかが評価ポイント。大きさやデザイン、色も様々なラクダアートをこの目に焼き付けました。日本からはるばる6000km、このためだけにインドを訪れたといっても過言ではありません。

ラクダフェスティバル
楽しみ方は無限大∞

さて、もちろんラクダアートだけでは終わりません。

ラクダのデコレーション部門も見どころ満載です。キラッキラの装具を盛り盛りに飾られたラクダたちが次々と登場する姿は、祇園祭の山鉾や青森の夏を彩るねぷたにも引けをとらない荘厳さ。インドの国旗や伝統の飾りをまとった姿はついつい見惚れちゃいます。ターバンを巻いたおじさんの表情もバッチリ☆彡

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続いてのプログラムは、ラクダダンス。ラクダと飼い主が360度囲まれたオーディエンスの前でダイナミックな踊りを披露。息を合わせ大きく飛び跳ねたり、ポーズを取ったり。3mほど背丈のあるラクダのダンスはまさに圧巻。

まだまだいきます。お次はラクダレース

普段はおしとやかに暮らす彼らの俊敏な動きは、なかなか想像がつきません。ですが、ひとたび合図が聞こえれば、長い手脚を最大限に活かし、砂埃を立てながら豪快に疾走。その姿は迫力満点。ぜひ一度、その目でご覧いただきたい!

ラクダフェスティバルの楽しみ方は、ただ見るだけにあらず。食べたり飲んだりもできちゃいます。ここでももちろん、ラクダミルク

せっかくならと飲んでみましたが……味は、しょっぱい。牛乳ほど甘さを感じませんでしたが、それでも“搾りたて”が伝わってきました。なんでも、栄養満点で健康的な飲み物なんだそう。さらにラクダミルクチョコも試食。やっぱり、こちらも少ししょっぱい!

そうそう、見る食す以外にも、乗ること(ラクダライド)も忘れずに。思った以上に激しい揺れと高さに怯えながらも、ラクダの背丈から眺める砂漠の夕日はラクダフェスティバルのラストにふさわしい〆(シメ)。しっかり心に染みました。

ラジャスタン新聞に載っちゃった!

翌朝、ビカネールを発った寝台列車で目が覚めると、会場で出会ったインド人おじさんからメッセージが。

「あなた、今日の新聞に載ってるよ」

寝ぼけ眼で送られてきた写真を確認すると、そこには苦しい表情で綱を引く日本人の様子が!そうです、最終日に参加した綱引き大会で、我々外国人チームがインド人チームに勝ったため、その様子が新聞に取り上げられていたのです。

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そんなわけでラクダまみれの3日間、世界広しといえどここでしか体験できない奇祭にどっぷり浸かってこそのインド沼。

彼の国の魅力に取り憑かれた方は、ぜひ、次の旅の目的地に「ラクダフェスティバル」を検討してみてください。

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