ラクダの魅力、知りたい?
知れば知るほど奥が深く、不思議で愛くるしい生き物。
それがラクダ。
体長2〜3m。脂肪を蓄えたコブを背中に1つか2つ持ち、この分厚いコブが断熱効果を果たし、砂漠のような乾燥地帯での異常な暑さを寄せ付けない。
一度に100リットル以上の水を飲むことができるのに、数日間まったく飲まないでもいられる。そうした特性から砂漠のイメージが強いラクダだが、実は泳ぐこともできるのです。
とっても力持ちで、何トンもの荷物を担ぐことができたり、頭が良いことから家畜として重宝されていたりもします。そして、なんといってもかわいい!クリクリの大きなお目々に長いまつ毛、モグモグふわふわな口……。
マルチな才能を持ち愛くるしいラクダ。彼らが主役となる「ラクダ祭り」なるものがこの世に存在することをご存知ですか?
ラクダの魅力をこの目で確かめるため、私はインド行きを決めました──。
ラクダの街「ビカネール」
ゾウのイメージが強いインドですが、ラクダも非常に多く生息しています。なんならラクダの方が多い気さえ。
インド西部のラジャスタン州は、インド一大きな州で広大な「タール砂漠」を有しています。このラジャスタンに位置するビカネールという街は、「ラクダの街」という異名を持っていることでも知られています。
その名の通り、街では当たり前のようにラクダが闊歩。バイク、車、ラクダ、車、バイク、ラクダ、ラクダ、牛……とにかく、人とラクダが普通に共存しているんです。
世界最大級の「ラクダ祭り」
毎年1月、ビカネールで開催される「Bikaner Camel Festival」。これが俗に言う「ラクダ祭り」。計3日間に渡って開催される祭りには、地元民はもちろんのこと、世界各国から何万人もの人々がラクダを目的に訪れるんです。
初日はラクダパレードやカーニバルから始まり、2日目はラクダレースやラクダダンス、ラクダアートの部。最終日は、来場者参加型の綱引き大会やターバン巻き大会などが行われています。
ということで、やっとの思いで会場に到着。すると、さっそくラクダ・ラクダ・ラクダじゃありませんか!
屈強なムキムキボディの子から細身の小さめな子、色鮮やかに飾り付けされた子や、なにやら繊細なカッティングが施された子まで!一口にラクダと言っても、こんなにバラエティ豊かだったとは。
会場内には屋台が立ち並び、ラクダミルクを使ったお菓子やラクダグッズが売られていて、こちらもラクダまみれ。はるばる6000km離れたこの地までやって来たんです。気になるもの全部トライしちゃうぞ!
まずはラクダミルク。
気になるお味は……しょっぱい!牛乳ほど甘くなく、さっぱりしていて飲みやすいんです。栄養満点で健康的な飲み物なんだそうです。
次にラクダミルクチョコを試食。ほぇ〜、やっぱり甘すぎなくて美味しい。なんならチョコなのにやっぱりしょっぱいし。
そうこうしていると、ラクダのデコレーション部門が始まりました。キラッキラの装具を盛り盛りに飾されたラクダが次々と登場。インドの国旗や伝統の飾りをまとった姿はつい見惚れちゃうほど。記念撮影も忘れずにね!
続いてのプログラムは、ラクダダンスです。
ラクダと飼い主がオーディエンスの前でダイナミックな踊りを披露。息を合わせ大きく飛び跳ねたり、ポーズを取ったり。3mほどの背丈があるラクダのダンスはまさに圧巻の一言!
まだまだいきます。お次はラクダレース!
普段はおしとやかに暮らす彼らの俊敏な動きは、なかなか想像がつきませんよね。長い手足を最大限に活かし、砂埃を立てながら走る姿は迫力満点。ぜひ一度、ナマでご覧いただきたい!
魅惑の「ラクダアート」って?
ところで、「ラクダアート」って聞いたことがあります?
これ、ラクダの毛を刈りラクダの体に描くアートのこと。毛をカットすることで色の濃淡をつけ、インドならではの伝統的なデザインを施していくんです。ラクダそのものの体格に合わせたデザインや、いかに地域の伝統や野生動物を描けるかが評価のポイントだそう。
実は、ある日本人女性がこの魅惑のアートに人生をかけ、ラジャスタンでラクダアーティストとしての名を馳せているんです。それを知った私は心底感銘を受け、遥々インドの砂漠までやってきてしまったという経緯。
なにはともあれ、その素晴らしき世界観をご覧ください。
ね、びっくりでしょう?
まさかラクダの体に、こんなにも繊細で美しい模様が描かれるとは、だれが想像できたでしょう。まるで絨毯のよう。あまりに行き届いたその美しさにうっとりしてしまうほど。ゾウや馬やシマウマを引き連れた伝統的な現地民が描かれていてストーリー性を持たせているんだそう。
デザインの制作期間はなんと、丸々1ヵ月。その間、朝から晩までラクダと一緒に過ごし、少しずつ信頼関係を築きながらアートを完成させるんだそうです。 というのも、人間が思っている以上にラクダは賢い生き物。人の顔を覚えちゃんと懐くんです。寂しくなったら鳴いて人を呼んだりもするみたい。
愛くるしいじゃないですか……。
ラクダに乗るのも忘れずに!
そうそう、ラクダに会って乗らずに帰る、なんてもったいないことしないように。せっかくなら、ラクダライドに連れて行ってもらいましょう。
思った以上の揺れと高さに怯えながらも、ラクダの背丈から眺める砂漠は最高です!
どうです?
ラクダ一色の3日間、ラクダのための祭典。ラクダと戯れながら、彼らの魅力を再発見できる「ラクダ祭り」。次の旅の目的地にいかがでしょうか?
「おやつなトピック」って?
Z世代のインターンから、この道うん十年のベテラン編集者まで、TABI LABO“ナカの人”がリレー形式で担当するコラムです。