「常識はずれのユートピア」新聞が痛烈批判した世界初の「地下鉄」

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

ロンドンに世界初の地下鉄開通

身近な移動手段のひとつ、地下鉄の事始めについてご紹介したいと思います。

世界初の地下鉄であるロンドン鉄道が開通したのは1863年のこと。日本は幕末末期の江戸時代ですよ。

あの「新撰組」が結成されるよりも前に、すでに地中に鉄道を通す技術があったわけですから、さすがは大英帝国。ずいぶん先を行っていたことがわかりますね。

メトロポリタン鉄道によってつくられたロンドン地下鉄は、パディントン駅からキングス・クロス駅までを開削工法により建設。そこからファリントン駅まで切り通しによる工法で工事がすすみました。

ただ、「地下を走る列車」に懐疑的な人は少なくなかったようです。また、新聞各紙は「空飛ぶ自動車と同じくらいバカげた、常識外れなユートピア」「いったい誰がロンドンの不快な暗闇を旅することを望むだろうか」と真っ向から地下鉄を批判しました。

こうした批判をよそに距離にしてわずか6キロほどではあるものの、開通までわずか3年あまりという超スピード、まさしく突貫工事で開通までこぎつけたロンドン地下鉄。最初の大動脈が通ったのが、160年前の今日1月10日のことでした。

ところで、当時の列車は石炭を燃料とする蒸気機関車。

想像してみてください。それが地下を走る。当然ながら煙がもくもく。ホームは煤(すす)まみれ。おまけにホームに火が飛び移ってボヤ騒ぎになったこともあったそう。危険すぎる…。

その後さまざまな変遷を経て、現在では11路線、270駅にまで拡大。ロンドンナーの移動手段として欠かせない市民の“足”として活躍しています。

ちなみにですが、全270駅のうち152駅がじつは、地上部分にあるんですよね。地下鉄なのに。

Top image: © iStock.com/MarioGuti
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