94年ぶりに発見された「新種の鳥」は、飛べなかった……。
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
「ヤンバルクイナ」命名の日
沖縄本島だけに生息する「ヤンバルクイナ」というクイナ科の水鳥をご存知ですか? 全長約30センチほどの小さな鳥で、くちばしと脚の鮮やかな紅色が特徴です。
聞いたことはあれど、見たことがない。それもそのはず、環境省のレッドリストでは絶滅危惧IA類と判定されている貴重な鳥。
それが初めて発見されたのは、今から40年前のこと。
ヤンバルクイナが発見された国頭村の与那覇岳付近では、以前から「飛べないクイナのような鳥がいる」との目撃情報が寄せられていたそうで、1981年5月、鳥類専門の研究所である山階鳥類研究所が調査員を派遣。
翌月、沖縄本島北部に位置する山原(ヤンバル)地域で、クイナ科の新種を発見しました。国内で新種の鳥が発見されたのは、1887年以来じつに94年ぶりのことだったそうです。
オスの成鳥と幼鳥を捕獲し、写真データを米スミソニアン研究所に送り鑑定を依頼。新種と確認されたそうです。で、これを受けて1981年11月13日、山階鳥類研究所は和名を「ヤンバルクイナ」学名を「ラルス・オキナワエ」と名付けました。国の天然記念物に指定されたのはその翌年のこと。
さて、このヤンバルクイナという鳥、体重のわりに翼が小さく翼を動かす筋肉も未発達。で、日本の在来種のなかでは唯一の飛べない鳥なんだとか。ちなみにこの子、夕方になると木の登り枝の上で寝る習性があるそうです。
発見当初、2000羽ほどの生息が確認されていたヤンバルクイナでしたが、わずか10年ほどで絶滅の危機を迎えてしまう。背景には観光事業や林道建設などによる森林伐採があるようです。また、今日野生化した猫をはじめほかの生物もヤンバルクイナの生存を脅かしているのだとか。
飛べないヤンバルクイナにとって、ハブの駆除用に持ち込まれたマングースや猫が天敵になるとは、なんとも皮肉な話ですよね。
国頭村にあるヤンバルクイナ生態展示学習施設「クイナの森」は、間近で観察できる貴重な施設。次回、沖縄観光の際にはぜひ。