【画像あり】米国でとんでもない新種ウイルスが発見。その正体は「吸血鬼」……?
目には見えないウイルスの世界。
それは、我々の想像よりもはるかにダイナミックで、サバイバルな環境なのかもしれない──。
最近発見された新種ウイルスの「とんでもない特性」が、ミクロの世界に対する新たな視座を与えてくれそうだ。
別のウイルスに噛みついて取り憑く
“バケモノウイルス”
ウイルスは細胞を持たない単純な構造体であることから、「生物と非生物の中間」と定義されている。増殖するために他の生物に侵入し、その中で細胞の機能や構造に依存するというのが彼らの特性だ。
こうしたウイルスのひとつに、「サテライトファージ」と呼ばれる種がある。これは、細胞内に侵入した際に、同じ細胞に入り込んでいる他のウイルス(ヘルパー)の助けを必要とする存在。
ヘルパーがやってくるまでの間、サテライトは細胞に侵入して留まっていることに気づかれないため、寄生した細胞のゲノムに統合する能力を持っているという。
しかし、先日発見された「MiniFlayer(ミニフライヤー)」と呼ばれる新種は、この適応能力を持っていなかった。その代わりに彼らがしていたのは、ヘルパーを乗っ取るという、とんでもない増殖方法。
彼らはヘルパーウイルス (マインドフレイヤー) の首に付着できる独自の「尻尾」を持っており、それを駆使して結合するらしい。
ヘルパーを待つどころか、まるで吸血鬼のようにヘルパーの首に噛みつき、そのまま取り憑いてしまう……とんだ“バケモノウイルス”だったのだ。
以下は、その様子を捉えた衝撃の画像。
紫色で示されたものがマインドフレイヤー、それに噛み付くように左側に付着しているのがミニフレイヤーだ。長い首のようなものにしっかりとしがみついていることが分かる。
さらに、遊離するウイルスの一部に「噛み跡」のような痕跡も確認されたという。こうした証拠に加え、前例がなく他に説明ができないことから、彼らはヘルパーに噛みついて合体し、細胞へ入っていくと考えられているようだ。
あまりの奇妙さに、研究者も「信じられない」
『The ISME Journal』に掲載された本研究。メリーランド大学の研究者らが、ミズーリ州とメリーランド州で収集された土壌サンプルから検出されたウイルスを顕微鏡で観察したところ、この衝撃的な発見に至ったそうだ。
ウイルスが別の個体に付着する姿を観察できたのは、今回が初めてのことだという。論文の筆頭著者であるTagide deCarvalho氏は、「それを見たとき『信じられない』と思いました」と驚きを露わにしている。
こうした奇妙なウィルスの発見は、彼らがどのように増殖し、進化していくのかを理解する重要な手がかりとなり、 新しい抗ウイルス治療法の開発にもつながる可能性を秘めている。
今後も、ウイルスたちの“不気味な習性”が解明されていくのを楽しみに待っていよう。