あと数十年で「キムチ」が消える可能性

伝統食がまたひとつ、姿を消そうとしている。

「ロイター通信」の報じたところによると、韓国では気候変動による急激な気温上昇で、白菜の収穫量が大幅に低下、合わせて品質も低下しており、ソウルフード「キムチ」の生産が脅かされているという。

キムチの原料、白菜が栽培できない……
韓国の伝統食を襲う問題

韓国政府が発表したところによれば、2023年の高地の白菜作付面積は3995ヘクタール。これは20年前の半分以下だと報告。このままいけば、2090年までに韓国で白菜を栽培できなくなるかもしれないという、最悪のシナリオもあり得るとした。

もしもこの状態が続けば、夏場は白菜キムチづくりを諦めないといけない。国が認定するキムチマイスター、イ・ハユンさんの嘆きをロイターが伝えた

韓国政府はキムチの供給を担保すべく、22年には白菜の貯蔵施設の新設に4000万ドルの投資を決め、科学者たちも温暖な環境に耐えられる白菜の品種改良に取り組んでいるが……従来の味・コスト面を再現するのに苦戦している様子。キムチを守るための課題は山積みなようだ。

 

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気候変動の影響で、近い将来「寿司が食べられなくなるかもしれない」。日本でもそう囁かれて久しいが、いま、世界各地の伝統食が脅かされている状況にある。“地球沸騰化”の時代、伝統食はいつまで我々の食卓に並ぶことができるのだろうか。数年前まで心踊らせて想像していた「未来の食」は、いま陽炎のように歪んで見える。

Top image: © Bowonpat Sakaew/Shutterstock.com
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