2022年、世界は「気候変動」にこう立ち向かっていた

カーボンニュートラル、サステイナブル、ゼロエミッション……。

これまで「エコ」という言葉で片付けられていたものからより細分化され、より直接的に日常に浸透してきたこれらのワード。

いま、地球のいたるところであらゆる環境活動が展開されています。国が、企業が、団体そして個人が規模の大小を問わず、それぞれがなすべきことに取り組んでいます。

振り返ってみれば、今年もさまざまなアクションをご紹介してきました。

あらためて、世界はどのように気候変動に立ち向かっているのでしょう?待ったなしの状況を前にしても、一人ひとりが前を向いて新しい年を迎えられるように。

いま、世界と気候変動の“現在地”。

どこまでも「環境ファースト」な憲法に!

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まずはイタリア。

2月8日、イタリア議会はサステナビリティ実現に向けた大きな意思決定を下した。憲法に新たに盛り込まれる内容、それが「環境と生物多様性を保護しなければいけない」というもの。

未来を生きる世代のための自然保護、そして「民間の経済活動は健康と環境を害してはならない」という旨も憲法に追加されるという。

効果に懐疑的な意見もあるようだが、国民の自由と権利を守るうえで欠かせないもの。そのひとつに環境保全が入ることの意味は、決して小さくないはずだ。

 

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世界初!空港が「気候変動」に乗り出した

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お次はオランダ。

国内最大、ヨーロッパでも3番目に大きい国際空港「アムステルダム・スキポール空港」が、2023年より同空港に着陸する便数を削減することを発表した。もちろん、狙いは気候変動対策にあり。

新型コロナウイルスによる影響が出る前の目安となる2019年の10%近く下回る水準を目指すそうだが、排出量削減騒音低減などを目指した気候政策も相まって、政府もこの動きを支援している様子。

もちろん、空港として具体的なアクションを起こすのは、これが世界初の試み。

 

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「シエスタ」は、冷え冷えのシェルターで

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今夏、記録的猛暑に襲われた西ヨーロッパ。一連の厳しい熱波と高温が原因となり、2万人を超える死者を出したことは記憶に新しい。

こうした熱波や高温が、今後より頻繁に発生するという見通しに、バルセロナ市があるプロジェクトを実施した。

猛暑にあっても、一般家庭やオフィスのエアコン使用量を削減省エネを実現させるという無理難題。その解決策が「気候シェルター」だ。

市の学校や美術館、図書館、さらには公園といった既存の施設を“避暑”のためのシェルターとして解放することで、市民に活用してもらおうというもの。

新たな施設をつくるのではなく、今ある価値を有効活用することで行動に移せる気候変動対策。小さくも大きなインパクトを与える施策では?

 

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すすむ、IKEAの「森林再生」プロジェクト

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企業だってアクションに動いている。

「IKEA」を所有する「インカ・グループ」が、米フロリダ州に約1321ヘクタールに及ぶ大規模な土地を買い上げ話題となった。

実はこの土地、2018年10月に全米史上3番目の強さで同州を襲ったハリケーン「マイケル」により、甚大な被害を受けたエリア。同社はここに約65万本の植樹を予定しており、森林地帯を再生し持続可能な木材生産を目指すということらしい。

近年、森林への投資に力を入れるインカ・グループ。需要と供給のバランスに限らず、植林がもたらす環境への好循環も視野に入れたアクションにエールを送りたい。

 

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「宇宙人侵略」よりも
目の前の危機

©Fridays For Future

まるで映画のポスターと見紛うそのビジュアル。よく見れば、無造作に木を切り倒したり、海で乱獲をしたりする様子が描かれている。そして、「宇宙人を恐れてる場合じゃない。彼らはもういる……」というメッセージ。

制作したのは、グレタ・トゥーンベリさんから始まったムーブメント「Fridays For Future(FFF)」だそう。先のアメリカ中間選挙に向けて公開したのにも、大きな意味がある。

第117回連邦議会で当選した議員139人が、いまだに科学的根拠にもとづく気候変動を否定している人々。

「彼らはもういる……」

FFFの指摘する“宇宙人”たちに、このメッセージはどう届いたのだろう?

 

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自動車のCMでも、フランスは
ウォーキング、サイクリング推し

©iStock.com/Marco_Piunti

2年後に迫る「2024年パリオリンピック」に向けて、気候変動対策にも余念のないフランス。

今年3月より、同国で放送・公開される自動車の広告には、環境負荷の低い交通手段を推奨するメッセージを盛り込まなければいというルールが設けられた。さらには、すべての制作物に「移動と汚染をすくなく」という意味のハッシュタグ「#SeDeplacerMoinsPolluer」も記載する必要があるという。

これ、自動車のCMでありながらウォーキングやサイクリング、カーシェア、公共交通機関の利用を促すという、なんとも矛盾だらけのもの。

環境に悪影響という認識はあれど、マイカーから他の交通手段へ大多数が切り替えているわけではない。そういった現状に対するなかば“実力行使”の一手。

果たして、2年後の開会式でパリの空は何色に映るだろう?

 

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「未来の渋谷」に、なにを思う?

©株式会社SEAMES

最後は、ここ日本から。

画像のなかの建物から「渋谷スクランブル交差点」を連想した人も多いはず。正解!ただし、だいぶ勝手が違う。

荒廃した渋谷の街を描いたのは、背景作画や風景画で有名なアーティスト東京幻想氏。そう遠くない未来の渋谷がそこにある。

気候変動と難民問題の認知拡大を目的にしたアートプロジェクト「RE:VISION ART PROJECT」の第1弾として公開されたこの絵に、あなたはなにを思う?

気候変動による大規模な洪水や大型台風の上陸、さらには干ばつ……。それらは決して対岸の火事なんかじゃない。現に2022年、日本でも多くの水害が発生した。

絵のなかの渋谷を“未来の姿”とさせないために──。

日本の、そして世界の未来について考え行動を起こすきっかけとなることを目的に「RE:VISION ART PROJECT」は、この絵をアートウォールとして12月上旬より渋谷区内にて展示する予定だそう。

 

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Top image: © iStock.com/coldsnowstorm
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