大学1年生から選考対象に。星野リゾートが仕掛ける、「採用革命」

「就活ルール」はもう古い。そんなメッセージと共に、従来の常識を覆す、新たな採用活動をスタートさせた企業がある。国内外72施設を運営する「星野リゾート」だ。

学年? スケジュール?
そんなのカンケーない!

2024年10月1日から開始される、新たな試み。それは、観光業界初の選考スケジュールも自分で決める、学生主体の通年採用だ。同社によると、同制度は「学生が主体的に就職活動を行うことが重要」との考えから生まれたという。

従来の新卒一括採用とは異なり、学年を問わず、大学1年生から選考に参加できる点が最大の特徴。さらに、選考スケジュールも学生自身が決定できるため、自分のペースでじっくりと企業研究に臨める。企業理解を深めるためのセミナーや、実際の職場で就業体験ができるインターンシップなど、多彩なプログラムを通して、自分に合った働き方を見つけていくことができるだろう。

内定辞退率80%減
星野リゾート流「相互理解」のススメ

企業と学生、どちらも納得のいく出会いを。そんな理想を実現するために、星野リゾートは、徹底的な「相互理解」を重視しているそうだ。

従来の一括採用では、限られた時間の中での選考となり、入社後に“ミスマッチ”を感じてしまうケースも少なくなかった。しかし、同社では、個人に合わせた内定フォロー施策を強化した結果、内定受諾後の辞退率が約80%も減少したという。これは、学生と企業、双方にとって大きな成果と言えるだろう。

「働く」と「旅する」は、似ている?
自分だけのキャリアパスを発見

また、星野リゾートの新たな採用制度で注目すべき点は、入社時期を自由に選択できること。4月、6月、10月、2月のいずれかから選択できるため、卒業旅行やボランティアなど、学生時代にしかできない経験を積んでから社会人生活をスタートすることも可能だ。「旅」をテーマに、様々な宿泊施設を運営する同社らしい、柔軟な働き方と言えるだろう。企業と学生が、まるで旅先で出会うように、フラットな関係で対話を重ね、互いの価値観を共有する。その過程で、きっと、自分自身のキャリアプランも見えてくるはず。

就職活動は、自分自身と向き合い、未来の可能性を広げる、かけがえのない時間。星野リゾートの採用活動は、そんな就活本来の姿を、私たちに改めて思い出させてくれる。

👀 GenZ's Eye 👀

これまで一般的だった「新卒一括採用」の性質とはまったく異なり、学年を問わないインターンシップやセミナーへの参加、さらには採用選考までもが取り入れられたこと。しかも、ベンチャーではなく企業において──。これは、日本の就活が変わるほどの革命かもしれません。

いっぽうで、「就活の早期化」が叫ばれるいま、大学1、2年生から選考対象になってしまうことで学業が疎かになる危うさも感じてしまいます。より一層、周りの学生に合わせるのではなく、行動一つひとつを“自分主体”で決めていくことの重要性が増していくのでしょう。

Top image: © 星野リゾート
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。