世界の「知」を集約した大事典
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
『ブリタニカ百科事典』初版が発行
今の世の中、調べごとはなんだってGoogle検索で済むけれど、より専門的で正確な情報を得ようとなれば話は別。そこを担うのはやっぱり百科事典。では?
ということで、今日は百科事典についてのお話です。
『ブリタニカ百科事典』(日本語版は『ブリタニカ国際大百科事典』)、その名前だけは聞いたことがあるでしょう。現存する英語による最古、最大の総合百科事典だそうです。初版が発行されたのは、254年前の今日、12月6日のこと。
スコットランド・エディンバラで分冊形式で発行された同事典、3年後の1771年にかけて全3巻にまとめられました。すでにその時点で約2500ページ、図版も160点挿入されていたというから内容もまさしくボリューミー。
じつは、当時ブリタニカの他にもいくつか百科事典は制作されていましたが、ほかは時代の流れの中ですべてなくなってしまった。逆に言えば、ブリタニカだけが残った。
なぜか?
それは、学術的にも表現的にも他の追随を許さない、“知の宝庫”だったからに他なりません。それを裏付けるように執筆陣には、世界中の著名人がズラリ!
たとえば初版で「電気」の項目を担当したのは、凧を用いた実験で雷が電気であることを証明したアメリカの物理学者で政治家でもあったベンジャミン・フランクリン。没後の寄稿ながら哲学者ジョン・ロックが執筆した「人間理解」。
その後も、詩人ウォルター・スコット、天文学者アーサー・エディントン、「キュリー夫人」で知られる物理学者マリー・キュリー、さらにはアインシュタインやフロイト、ジョン・F・ケネディそしてヒッチコックと、各時代を反映するそうそうたるメンバーによって作り上げられてきたのがブリタニカ百科事典なんです。
ただ、新しい版を生み出すには莫大な費用もかかる。財政的に厳しい時代は発行を遅れさせざるを得ないこともしばしばあったようで、それゆえ「内容が時代遅れだ」と批判にさらされることもあったとか。
時代の流れとともにオンライン化を図り、1994年にはオンラインサービスを開始。95年には2枚組CD-ROM版も登場、そして2012年、印刷本形態での発行・販売を終了し、以降はインターネットをはじめとするオンラインでの提供となっています。
高度な専門知識を性格に伝える。その背景にあるのはあらゆるジャンルのトップランナーたちによる“知”。稀代の百科事典のご紹介でした。