「VALORANT」開発チーム直伝、ゲームデベロッパーへの道

ゲーム開発に携わりたいと思っている人へ

ゲームをつくることに対して、世界でもっともパッションを持っている人たちに話を聞くことができたので、もし少しでもゲーム業界に興味を持っていたら、本稿に目を通して頂きたい。

「Riot Games」が開発、運営を行う世界的人気を誇るタクティカルシューティングゲーム『VALORANT』の世界大会「VCT MASTERS TOKYO」が大盛りあがりをみせたのは記憶に新しい。

その裏で、来日していた「VALORANT」開発チームと関連メディアがテーブルを囲む催しが開かれた。

世界をリードするゲームカンパニーである「Riot Games」には『League of Legends』や『VALORANT』をはじめ、競技性の高いゲームを生み出した精鋭たちが揃っている。

彼らの“生の声”から、現代のゲーム業界において価値ある人とはいかなる能力の持ち主なのかに迫る。

まずは、日本のゲーム業界を志す若者へのアドバイスに対する開発チームのアンサーをみていきたい。

©2023 NEW STANDARD

Riot Gamesより「VALORANT」開発チーム

左からAndy Ho氏(Sr. Director, Game Direction)、Coleman Palm氏(Associate Director of Product Management)、Alexander Mistakidis氏(Sr. Technical Game Designer)、Anna Donlon氏(SVP, Executive Producer)、Kyle Powell氏(Game Designer)、David Nottingham氏(Creative Director

質問:「皆さんのようなゲーム開発者を志す、特に日本の若者に向けてアドバイスをお願いします」

 

David Nottingham氏(Creative Director)

私がこの業界に入ったときとでは、今のゲーム業界は大きく変わった。ビデオゲームに深い歴史を持っている日本の未来のデベロッパーに向けて良いアドバイスができるといいと思います。

若者に伝えることが多いのは、私がこの業界で仕事をし始めたときとは大きく異なり、今はたくさんのツールがあり、それを学ぶためのチュートリアルがオンライン上に豊富に揃っていることが挙げられます。『VALORANT』はUnreal Engineを用いて開発されています。ぜひ、ダウンロードして触ってみてほしいです。

まずは、プログラマーとしてかアーティストとしてかに関わらず、つくり始めること、そして一緒に作る友だちを探すことをしてみましょう。

 

Alexander Mistakidis氏(Sr. Technical Game Designer)

私は、エンジニアとして、そしてゲームデザイナーとして開発に携わっています。ゲームをたくさん触るのはもちろんですが、建築やアートをはじめ、様々な領域に飛び込んでみるようにしましょう。

ゲーム開発は多様な分野から成り立っているので、各領域から得られる知的好奇心からゲーム開発のインスピレーションは得られるはずですし、ゲームデベロップメントがどのようにして統合されているのかを理解する手がかりになります。

 

KYLE POWELL氏(Game Designer)

私は、ゲームデザインの観点から述べたいと思います。ゲームをただプレイするのではなく、学ぶ意識を持ちましょう。バランスパッチからデベロッパーが加えた変更について疑問を持つようにしましょう。

他に色々な選択肢があったはずであるにも関わらず、ゲームデザイナーがなぜその変更を加えたのかを考え、その選択をとった意図を汲み取ることに挑戦するとともに、他にどのような変化を生む選択肢を取れた可能性があるか考えてみてほしい。

 

Andy Ho氏(Sr. Director, Game Direction)

ゲーム開発においては特にパッションの重要性を感じる。現代においてゲーム開発を志すうえで、エンジニアになるべきなのかアーティストとして関わるべきなのかなどはパッションに従順であれば答えがみつかるはずです。

ゲーム開発は様々な領域にまたがっているため、自分が得意なことがなにかしらみつかると思うので、たくさんのリサーチをすることをおすすめします。

 

開発者の意見を聞いてみると、現代におけるゲーム開発がいかに多様性に富んだ現場かがわかるだろう。

ひとえにゲーム開発といっても、多種多様なスペシャリストが複合的に噛み合って成立しているため、何かしら自分に適性がある関わり方ができるはずなのだ。

特に、明言されていた「建築」、「アート」の領域は言わずもがなだろうが、データ解析を専門にしている人もいれば音を専門にしている人もいる。

仮想空間の中で特定のルールをもってして遊びをつくるということ自体、大げさに言えば新たに世界を生み出しているようなものだから当然だろう。

現代においてゲーム開発のハードルはかなり下がった。

『VALORANT』をはじめ多くのゲームに使用されているUnreal Engineは無料でダウンロードすることができるので、推奨スペックを満たすPCさえあれば、いつでも開発をはじめられるのだ。

そして心に響いたのは学びの意識に関してとパッションの重要性である。

更新されるパッチノートや新マップ、新エージェントなど、ゲームに加えられていく変更点についての研究意識の重要性が語られていた。

たとえ、その変更が特定のスキルの持続時間が1秒短縮されただけだとして、それが2秒短縮されたケースだとどう変わるのか。なぜ1秒にしたのかといった開発側の意図を探ることが学びになると言う。

これは、ゲーム開発以外においても同様だろう。

為された事象に対して疑問を持たずに黙って受容するのではなく、なぜそれが起きたのか、他にどのような可能性があったのかなどを思考し続けることが「創造主のメンタリティ」だと感じた。

そして何より、自分の情熱が向く方へ従順であること。

それが自らのあり方を示すだろうという、熱い言葉をプロの大人たちから聞けたのが感慨深かった。

Unreal Engineの可能性

『VALORANT』の開発に用いられている「Unreal Engine」。

「Epic Games」によって開発された3D制作ツールで、ゲームを筆頭に映画、ライブイベント、建築、輸送など様々な分野で活用が進んでいる。

制作されたコンテンツの売り上げに応じて使用料を支払う必要があるが、原則無料で提供されているため、今すぐゲーム開発に触れてみたいと思う学生などにとってみれば、非常にありがたいシステムだろう。

ゲームの世界にとどまらない活用方法がたくさんあり、それらを模索するのもおもしろいはずだ。

開発チームが語ったように、まずは触ってみて自分の可能性を広げてみよう。

© Unreal Engine / YouTube

VALORANT開発チームによるUnreal Engineのデモ映像

先日開催されて大きな盛り上がりを見せた
「VALORANT Champions Tour Masters Tokyo」のレポートも併せてチェック!

 

 

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