ソニーの社会連携講座「東大×藝大×デジハリ」──前例のないタッグが挑む「イノベーションあふれる世界」とは?

「テクノロジー×デザイン×ビジネスのスタートアップ手法を社会実装を通じて身に着ける」──。

そんなテーマのもとに組織、運営されるプログラム「IGNITE YOUR AMBITION(以下、IGNT)」

日本だけでなく世界のテックシーンをリードし続ける「ソニーグループ」の支援により、日本の最高学府「東京大学」、アートやデザインの領域において他を圧倒する「東京藝術大学」、そして新進テクノロジーの先端を学ぶことができる「デジタルハリウッド大学」で開講されているIGNTが目指すのは、若い世代におけるアントレプレナーシップ(起業家精神)の醸成とイノベーション(社会変革)創出に向けた土壌作り。

今後の世界を変えるかもしれない野心的なセッションを牽引する5人の講師陣へのインタビューをもとに、その意味と意義を探る。

東大卒業生に元・ゲーマー......
個性派揃いのIGNT講師陣について

──まずは、IGNTに講師として参加している東大の非常勤講師のみなさんに自己紹介をお願いしたいのですが、よろしいですか?

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金川暢宏
東京大学工学系研究科中尾研究室非常勤講師/IGNT Producer/(NTTドコモ)

金川暢宏(以下、金川)さん:では、自分から。金川です。個人として東大の非常勤講師をやらせていただいていますが、会社としては「NTTドコモ」に所属していて、新規事業の創出を担当してます。

このプロジェクトに参加した理由は……

 

杉上雄紀(以下、杉上)さん:僕がナンパしたんです。

 

一同:笑

 

金川さん:そうでしたね(笑)。会社でやっている仕事は新規事業の立ち上げだったりですが、このIGNTでは学生の力を借りながら、新しい事業を起こす際のスキームなんかを実験させてもらっている感じです。

あとは、参加する学生たちのメンタリングとか。学生とはビジョンについての考え方や捉え方について会話することが多いかもしれないですね。

 

住朋享(以下、住)さん:あとは優しいお兄さん役ね。

 

一同:笑

 

──今のやりとりからだけでも、このプロジェクトが非常にユニークな講師陣で運営されているのがわかります(笑)。では、次に佐藤さん、お願いできますか?

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佐藤彩夏
東京大学工学系研究科中尾研究室非常勤講師/IGNT Producer/(フリーランス ayakasato.com

佐藤彩夏(以下、佐藤)さん:私は2022年まで「クックパッド」にいて、今はフリーランスと東大の非常勤講師をしています。

学生時代、ずっと研究畑にいて博士までとってるんですけど、研究仲間と起業してみたはいいんですが、ビジネスのことなんか全然わかんなくて……。それで修行のために「博報堂」からスピンアウトした「クオンタム」という会社で新規事業の開発を担当していて、IGNTでも講師をやっている住さんに誘ってもらう格好で「クックパッド」へ。

ある日、住さんから「講座のファシリテーションをやってほしい」って依頼を受けてIGNTに参加させてもらったんですが、もともと教育に携わりたいって思いもあったので、それにすごくやりがいを感じて、2023年から正式に参画させてもらっています。

 

──なるほど。では次に、IGNTの責任者・杉上さん、お願いします。

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杉上雄紀
東京大学工学系研究科中尾研究室非常勤講師/IGNT Chief Producer/(ソニーピープルソリューションズ)

杉上さん:よろしくお願いします。このプロジェクトの発起人で、東大のほかに会社としては「ソニーピープルソリューションズ」で産学連携やイノベーション人材の育成を担当してます。あと「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」にもアクセラレーターとして所属しています。

社会人や社内企業家が新規事業に挑むのはすごく大事なことなんだけど、吸収が早くてすぐに成長して、でもまだ新規事業の経験がない大学生たちといろいろなプロジェクトができたらおもしろそうだなぁって思って、この社会連携講座を立ち上げました。

あ、そのまえに、社内ベンチャーをやっていて、ずっとお金儲けのことばっかり考えてたんですけど、ふと「自分の人生、これでいいんだっけ?」って思ったんですよね。

 

──それ、記事に書いていいんですか?

 

杉上さん:はい、全然。そもそもベンチャーってそういうものだから、当然の考え方ではあるので、お金を儲けることに注力するって。

でも、あるとき、お金儲けとは別の“生きてきた意義”を感じられることをやりたいなって思ったんです。それで思いついたのが“大学の教育のなかでスタートアップをはじめる”っていう構想だった、と。

それを僕がいた東大の研究室の教授に相談したら「それ、俺がやりたいと思ってたやつだよ」って、構想から約半年で実施に至ることができたんです。

それで仲間(講師)を集めていって今に至るという感じです。

 

──「学生と組んだらおもしろいかも」と感じるきっかけのようなものはあったんですか?

 

杉上さん:夢にね、出たんですよ、ある日。

 

──夢……ですか?

 

杉上さん:そう、大学で、自分が何かをやってる夢。

もともとゼロイチで何かを作るっていうのは好きだし、そのアイデアに触れるのも好きだし、新しいことを考えてる人と話すのも好きなんですが、自分ではそういくつもアイデアを形にするのって難しい。

でも、教育っていう環境のなかで、たくさんのアイデアとか想いに出会えたらいいなとは思っていて……。

あるとき、自分が大学生と一緒に何かをやっている夢をみて、「あ、これは社会的に意義があるし、残る仕事だな」って。

 

──おもしろいですね。では、住さん、自己紹介をお願いします。

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住朋享
東京大学工学系研究科中尾研究室非常勤講師/IGNT Producer/(SIGMAXYZ)

住さん:「SIGMAXYZ(シグマクシス)」というコンサルティングファームでプリンパルをやっています。

そもそもの話をすれば、高校を中退して4年間引きこもってオンラインゲームで世界一になっていて……

 

──すごいご経歴ですね……。

 

住さん:今の活動に直結する出発点としては、8年くらいまえにシリコンバレーにいたことがあって。「Rocket Space」っていうインキュベーション施設に駐在してて、そこは「Uber」とか「Spotify」とか世界でも名だたるスタートアップがたくさん生まれた場所なんですが、自分がいる場所から世界を変えるものがたくさん生まれていることに衝撃を受けて、それ以来、イノベーションが起きる仕組みを解き明かしたいなと思ってました。

帰国してからは、200以上のスタートアップにかかわっているのかな?

もし日本の人たち……とくに若い人たちが「世界をこういうふうに変えたいんだ」っていう問いを立てて、それを解明できたら、日本はすごい国になれると思うんです。

そのお手伝いができたらなって参加しています。

 

──では、最後に志賀さん、お願いできますか?

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志賀竜也
東京大学工学系研究科中尾研究室非常勤講師/IGNT Producer/(ソニーグループ)

志賀竜也(以下、志賀)さん:よろしくお願いします、志賀です。

私も個人で東大の非常勤講師をやっていますが、会社としては杉上さんから説明があったSSAPに所属しています。

もともと愛知で働いているときに、社内で新規事業を担当している人たちの集まりで登壇する機会があって、そこで杉上さんと一緒になったんですね。そのとき、ビジネスの立ち上げ方というよりも、ふたりはマインドに寄った話をしていて。

 

杉上さん:そのとき「あ、この人と一緒に学生のプレジェクトができたらおもしろいな」って思って。

 

志賀さん:そこで声をかけてもらって。もともと学生といろいろやることに興味をもったきっかけとしては、自分の母親と弟が教職に就いていて、後藤慎平(医師/政治家)さんの格言で「人を残すは上、仕事を残すは中、金を残すは下」っていうのがあるんですけど、母親がそれを口にしたのが印象に残ってて。

 

住さん:志賀さん、クール系で飄々としてるけど、中身は全然違うからなぁ。

 

志賀さん:(笑)。でもたしかに、仕事だけじゃなくて、次の世代に何かを残す行為……それは教育っていう大それたものじゃなくても、いつかはやりやたい、やらなきゃって思ってるなかでチャンスをもらったんで「ぜひやらせてください」と。

自分、夢とか目指してるものとかってあんまりないんですけど、学生が育っていくのを間近でみるのって、すっごく楽しいんですよね。

 

佐藤さん:あ~わかる~、それ。

 

志賀さん:普通だったら何年もかけてやることを、なんにもわからない学生が「これやりたい!」ってたった1年でできるようになる……これができるなら、誰でも1年で人生変わるじゃないですか。

それが当たり前の世界になったら、きっとおもしろいだろうなっていう想いで、今、やってます。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。