「東京藝大」の学生が「富士フイルム」にプレゼンを実施!その内容と軌跡を追う【IGNT】
「Plowing」──これは“大地を耕す”ことを指す言葉だ。
2022年から2023年にかけて実施された「ソニー」の社会連携講座「Ignite Your Ambition(以下、IGNT)」。
「テクノロジー×デザイン×ビジネスのスタートアップ手法を社会実装を通じて身に着ける」というコンセプトのもとに組織、運営される同プラグラムにおいて、「東京藝術大学」の学生が中心となって立ち上げたプロジェクト「Plowing」の内容、そして世の中へのアウトプットをゴールに据えてアクションした経緯とその結果まで追ったルポルタージュ。
意味するのは“発火”
そもそも「IGNT」とは?
日本だけでなく世界のテックシーンをリードし続ける「ソニーグループ」の支援により、日本の最高学府「東京大学」、アートやデザインの領域において他を圧倒する「東京藝術大学」、そして新進テクノロジーの先端を学ぶことができる「デジタルハリウッド大学」で開講されているプログラム、それが「Ignite Your Ambition(以下、IGNT)」。
野心溢れる学生たちが多数参加する同プログラムが目指すのは「若い世代におけるアントレプレナーシップ(起業家精神)の醸成とイノベーション(社会変革)創出に向けた土壌作り」。
2023年には「全ての東大生がライフワークとなるテーマを見い出し共感し合える仲間と共に挑戦していく基盤を作る」ことを目的にしたプログラム「UT-ONE」を立ち上げ、さまざまな企業と連携しながら、若い世代の起業家精神の育成に力を注いでいる。
「東京藝術大学」の学生が発案した
プロジェクト「Plowing」とは?
「IGNT」において「東京藝術大学」の現役学生・川上湖瑚蕗さんらが立ち上げたプロジェクト「Plowing」。
自身のある経験に着想を得て、想いを共にする仲間を集め、実施に向けて動き出した“耕す”をテーマにしたプロジェクトの内容を企画書の一部とそのサマリーにてご紹介。
同プロジェクトでは「Plowing」を「アルゴリズムに支配されたデジタルな生活では気付けないような、潜在的な感性(=なんかいい)を見つけ、そこから好きを実感しようとすること」と定義。
プロジェクトメンバーは、この行動様式の価値をより多くの人に体感してもらいたいと考えた。
「常に誰かのおすすめを見聞きして生活する現代の人々は、実は本当の自分の感性で好きなものを見つけられていないのかもしれない。一見何もない、情報が不確かでわからないところにこそ、自分の本当の好きにつながる感性が埋まっている。それが私たちが最も大切にしたい潜在的な感性“なんかいい”」──。
企画書には「Plowing=(感性を)を耕す」というプロジェクト名に込めた思いがこう綴られている。
「なんかいい=きちんと“振り返る”と“好き”に発展する、大事な心の振動」だと考えた藝大・川上さんをはじめとするプロジェクトメンバーたち。
彼女たちはそんな感情や気づきを、藝大20名ほどが参加した、新潟県十日町市の視察で得たという。
フィルムカメラならではの「現像」という工程や行為が“振り返り”の機会……つまりは自身の“好き”を認識するためのトリガーとなり、撮影できるカット数が制限されていることで生まれる感性や感度の高まりこそが「Plowing」のコンセプトにマッチすると仮説立てたプロジェクトメンバーは、「富士フイルム」の人気のレンズ付きフィルム「写ルンです」を、プロジェクトの実施に欠かすことのできないツールであると考え、フィルムカメラの新たな楽しみ方を模索した。
そして、同プロジェクトの実社会との接遇ポイントとしてイベントの企画も考案するまでに……。
「富士フイルム」へのプレゼンテーションが実現
「IGNT」と「Plowing」を追うなかで、同プロジェクトの実現において必要不可欠な要素、それは企画立案者たちの企画にかける情熱とレンズ付きフィルム「写ルンです」という存在。
奇しくも「写ルンです」を製造、販売する「富士フイルム」とこれまでさまざまな施策や企画において近しい関係性を築いてきた「TABI LABO(NEW STANDARD)」は、学生たちが立案したプロジェクト「Plowing」をプレゼンテーションする機会を同社に提案。快諾を得ることができた。
ドラフトを含めると数十ページにも及ぶ提案資料をもとに、「東京藝術大学」の川上さんが「富士フイルム」の広告戦略などに携わる担当者におこなったプレゼンテーションの結果や、いかに......。