日本のeスポーツファンが世界に魅せた
VALORANT Champions Tour Masters Tokyo

先月開催された「VALORANT Champions Tour(VCT) 2023 Masters Tokyo」は、年に3回行われる「Riot Games」社が開発、運営を行う世界的人気を誇るタクティカルシューティングゲーム『VALORANT』の世界大会の1つ。

VALORANTにおいては、国内初の世界大会開催となったVCT Masters Tokyoの実態から見えてきた国内eスポーツの可能性とは。

日本チーム不在も、熱狂

昨年、国内初のオフラインイベントを皮切りに、公式大会やストリーマーイベントなど、VALORANTの数多くのオフラインイベントが実施されてきた。

オンラインを主戦場とするカルチャーにおいて、オフラインイベントは非日常的な熱狂を味わえるイベントとして、ここ1年間でVALORANT界隈にかなり浸透している。

オンラインでは同時接続数といった数字でしか見えなかった人々も、オフラインでは熱狂の渦に変わった。

そう、日本のVALORANTファンは熱かった──。

韓国で開催されたVCT PACIFICにおける配信の同時接続数上位のマッチはどれも国内チームの試合であり、VALORANT競技シーンに対する日本の熱い視線には世界が気づいていた。

昨年、本大会の東京開催を呼び寄せたのも日本のZ世代を中心とする熱いファンたちと言えよう。

 

Masters TokyoにはVCT PACIFICのリーグ戦からアジア上位3チームが出場。

昨年、世界大会で3位の偉業を成し遂げた国内チームZETA DVISIONの出場が期待されたが、惜しくも4位となり参戦できず。

開催直前の不安材料として日本チームが勝ち残れず、Masters Tokyoへの切符を逃してしまったことが挙げられていた。

国内チーム不在の世界大会が、日本で本当に盛り上がるのか?

国内外の注目が集まっていたが、結果的には良い意味で日本のファンたちは裏切ってくれた。

日本に集まった世界各国の精鋭チームを日本のファンは熱烈な応援で迎えたのだ。前半戦を「TIPSTAR DOME CHIBA」、決勝を「幕張メッセ」で開催。12日間、総勢3万7000人以上を動員したこのイベントは、国内ファンの熱量を世界に証明してみせた。

推し文化はゲームカルチャーにも根付いていた

日本のアイドル文化から生まれた「推し」文化。

今では「推し」を応援することを意味する「推し活」や「推し事」といった言葉は多種多様なカルチャーシーンで使われるようになった。

ゲーム界隈も例外ではなく、プロ選手やストリーマーにつくファンたちはアイドルコンサート顔負けの応援グッズでオフラインイベントに集う。

Masters Tokyoの会場にも海外選手の推しグッズを手に応援する日本のファンたちの姿が多くみられ、国内チームのみならず海外のVALORANRT競技シーンに対する関心の高さを実感できる結果となった。

彼らは、各チームから販売されている公式グッズだけではなく、手づくりのうちわやタブレットに表示させる電光掲示板など創意工夫をこらして選手たちに声援を送っていた。

普段、画面越しでしかなかなか応援できなかった海外選手のスーパープレーに、会場のファンは大興奮であった。

©2023 NEW STANDARD

手づくりの応援グッズで声援を送るファン

選手とファンの超近距離交流

会場でもっとも印象的だったのが、選手とファンがハイタッチをしながら舞台上とバックヤード間を入退場する姿だった。

幕張メッセで行われた準決勝、決勝の会場は選手が登場し、舞台上に上がるまでに花道を通る構造になっており、選手とファンは今までにない、距離感の交流に興奮を抑えられていなかった。

選手の多くが、試合後のコメントでファンの熱量を近距離で感じられたことに言及しており、彼らがオフラインでの大会の良さを実感した場面でもあったようだ。

勝敗に関わらず、舞台を降りていく激戦を繰り広げた選手たちに集まるファンの姿は、まさに“スポーツ”といった雰囲気を催していた。

「eスポーツ」後進国と言われ続けてきた日本だが、もはやそれも昔の話と言える日が近そうだ。

実際に会場で体験すると、「eスポーツ」という言葉の意味がしっくりくる。

©2023 NEW STANDARD

入場する選手たちに詰め寄る観客

熱狂、再び

日本のVALORANTファンたちが証明した熱狂は国内のみならず、世界を巻き込む熱狂だった。

今後、また日本で開催したいと思わせるような大会になったのではないだろうか。

筆者を含め、国内のVALORANTファンはこの興奮を忘れないだろうし、また日本で開催されることを心待ちにしていることだろう。

 

2023年のVALORANT競技シーンはまだまだ続く。

今大会に出場できなかったインターナショナルリーグのチームが8月、ロサンゼルスで開催される今年最後の世界大会「VCT CHAMPIONS」出場をかけて戦う「VCT LAST CHANCE QUALIFIER(LCQ) PACIFIC」が7月18日〜23日にかけて開催される。

 

以下から概要をチェックして、みんなで応援しよう!

「VCT LAST CHANCE QUALIFIER PACIFIC」

© VALORANT // JAPAN / YouTube
Top image: © 2023 NEW STANDARD
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。