ChatGPTって、どこまできてる?最新の動向をまとめてみた
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いまや、私たちの生活のあらゆる場面に影響を及ぼしている人工知能(AI)。なかでも、人間と自然な会話を行ってくれるAIサービスは、AIに関する特別な知識がなくても利用できる点から、多くの人に利用されている。そしてその分野の最前線に立つのが、OpenAIによって開発された「ChatGPT」だ。
ChatGPTは、質問応答から物語作成、ビジネスサポートまで、さまざまなタスクをこなすことができる一方、公開からしばらくたった今、あらためていくつかの問題点も浮き彫りになりはじめている。
ChatGPTに関する情報や知識は、めまぐるしくアップデートされていく。現時点でのChatGPTがどのようになっているのか、有効活用するために知っておくべき点をみてみよう。
そもそも、ChatGPTって?
ChatGPTは、OpenAIによって開発された人工知能(AI)ベースのチャットボットだ。「ChatGPT」という名前からわかるとおり、このサービスはGPT(Generative Pretrained Transformer)という技術をもとにして作られている。GPTは、大量のテキストデータからパターンを学習し、その知識を用いて新しいテキストを生成する。一般的な質問応答、情報提供、さまざまなトピックについてのディスカッションなど、わたしたちと自然な会話を行いながら多岐にわたるタスクをこなしてくれる、まさに日常の“お助けマシン”といえるだろう。
同サービスはWeb版・アプリ版のいずれも、アカウントさえ作成すれば誰でも無料で利用できる。高度な機能が欲しい人向けには月額課金プラン「ChatGPT Plus」(月額20ドル、約3000円)が用意されており、登録すると、無料版で使われているモデル(GPT-3.5)より上位のモデル「GPT-4」を使うことができ、さらに精度の高い回答を得られるほか、プラグイン(拡張機能)などの利用も可能となる。
ChatGPT、今どんなふうに使われている?
では、実際にユーザーはどのような使い方をしているのだろうか?
一般的には、ChatGPTにおもしろい物語や替え歌を作成してもらったり、ロールプレイゲームのキャラとしてふるまってもらったりと、エンターテイメントとして使用されるほか、旅行の計画を立てたり、恋愛相談をしたり、日常生活で困ったときの対処法を尋ねるなど、頼れる相方としても活用されているようだ。
学生・生徒の場合は、ChatGPTに文章の添削・リライトをしてもらったり、わかりにくいトピックについて簡単に説明してもらう、参考文献をリストアップしてもらう、といった使い方をしていることが多い。一方で、学校から与えられた課題や、大学の論文・レポートの内容をすべてChatGPT任せにしてしまうという事例もみられている。最近では、ChatGPTを使って作成した文章を判別する支援ソフトが開発されるなど、対策方法も誕生している。
ちなみに、東京都も8月よりChatGPTなどの生成AIを全局で利用開始する方針を示しているなど、現在ではいろんな場所で利用が試されているようだ。
どんどん進化するChatGPTの最新機能をご紹介!
ChatGPTは、無料利用だと2021年9月までの学習済みの情報しか持たず、それ以降のデータを加味して回答することはできない。
しかし、先ほど紹介した有料プラン「ChatGPT Plus」に加入することで、ブラウザ検索機能を使うことができ、Webサイトから最新情報を入手したり、こちらが指定したURLを参考に回答してもらったりすることができる。また、追加で拡張機能(プラグイン)をインストールすることで、旅行予約やレストラン検索、画像生成AI用のプロンプト作成など、幅広い使い方が可能に。
他にも、有料プランでは定期的にアップデートされる新機能をいちはやく利用できる。
7月上旬には、ユーザーの指示をもとにコードを生成・実行してくれる「Code Interpreter」が追加された。この機能を使うと、たとえば特定のデータをExcelファイルやcsvファイルでアップロードし、やりたいことを指示すれば、ChatGPTがデータの中身を読み取り、わかりやすい図や表、グラフに変換したり、データを分析・抽出してもらったりすることができる。
また、つい最近では「Custom instructions」という機能も搭載され、ChatGPTの応答方法をより細かく制御できるようになった。ChatGPTにどんな立場でふるまってもらうか、どう対応してほしいか、出力形式、回答の長さまで、あらかじめ詳細に指定できるようになったことで、求めている回答がより得られやすくなったようだ。
名前はきくけど……
よくわからない「API」って?
現在、ChatGPTのビジネスにおける使用率は、アメリカが51%と半数以上であるのに対し、日本はたったの7%(2023年5月末時点、MM総研調べ)と、まだまだ普及は広がっていない。
そんななか、もしあなたが「会社でもChatGPTを有効活用したい」と考えているのなら、おさえておきたいのが「ChatGPT API」だ。
APIとは「Application Programming Interface」の略で、カンタンに言えば、あるサービスを他のアプリと連携して使うことができるもの。たとえばWebサイトやサービスの利用時に、GoogleやTwitterなどのアカウントを使ってログインした経験はないだろうか。そうした設計には、実はこのAPIが利用されている。
同じように、ChatGPT APIを他のアプリケーション(アプリ)と連携することで、好きなアプリ上でChatGPTを使用することができるようになる。
現在、メッセージアプリ「LINE」上で直接ChatGPTを使ったやりとりができるサービスも公開されているが、それもこの技術を利用したものだ。
先日から、ChatGPTの高度なモデル「GPT-4」のAPIが一般公開されており、それを使えばさまざまなアプリで呼び出し、精度の高い回答を得ることができるようになっている。
APIを使うと、業務が一気にラクになる?
APIは具体的にビジネスのどのような場面で役立つのかをみてみよう。
- プレスリリースやメール原稿の自動生成、原稿の翻訳や校正
- カスタマーサポートの自動応答システムの開発
- AIチャットボットを通じた顧客との対話や、社内でのナレッジ共有の自動化
- プログラミングコードの作成、校正、デバッグの発見
- ビッグデータ分析の補助、分析結果のレポートへの変換
……などなど、業務のさまざまな工程で、自動化や効率化を実現することができる。
しかし、個人利用ではないだけに、扱う情報にも特段の注意を払う必要が生じてくる。利用の際には、以下にもあげている点について十分に留意しよう。
ChatGPTを使うときに気をつけたいこと
非常に強力なツールとして大活躍の可能性を秘めているChatGPTだが、もちろんいくつかの問題点も存在する。
①偏見や差別が紛れているかも?
たとえばChatGPTは時折、攻撃的・差別的な言葉を生成することがある。これは、学習先が大量のインターネットテキストであるため、不適切な言葉や概念、偏見も学習してしまうことが原因だ。出力した文章には、そうしたものが含まれていないか注意する必要がある。
②情報が間違っていないか確認しよう
ChatGPTは学習したデータから情報を生成するが、その情報が常に正確であるとは限らない。AIの「ハルシネーション(Hallucination:幻覚)」という言葉をご存知だろうか。まるでAIが幻覚をみているかのように、ウソの情報をもっともらしく出力することをさす。AIの出力した文章が真実かそうでないかの判断は、人間が最終的に行うことが重要だ。
③漏れたら困る情報の入力には気をつけて!
一番気をつけたいのが、情報漏洩のリスクだ。Group-IBの調査によると、この1年で10万を超えるChatGPTユーザーアカウントが盗まれているとの情報もある。すでに多くの企業でChatGPTが活用され始めているが、データの取り扱いには十分注意しなければならない。ChatGPTの認証情報が漏洩した場合、業務の中でChatGPTに入力されたデータ、場合によっては機密情報も漏れてしまう可能性がある。大切な情報は入力しないように心がけるとともに、2段階認証などを利用してセキュリティ面も対策しておこう。
④ChatGPTの悪用、ダメ。ゼッタイ。
ChatGPTを含む大規模言語モデルは、とてつもなく便利だからこそ、使い方によっては非常に厄介なツールにもなりえてしまう。近頃では、似たようなサービスがサイバー攻撃や詐欺行為に活用される事例が実際に起きている。
たとえばChatGPTに類似したサービス「WormGPT」は、サイバー犯罪者らが生み出した悪意ある生成AIだ。サイバー犯罪に悪用できるように強化学習がなされており、非常に凝ったフィッシング詐欺メールの作成をはじめ、あらゆる種類の不正行為を実行できてしまう脅威的な存在となっている。
ChatGPTにはこうしたことができないようにセーフティ機能が搭載されているとはいえ、一歩間違えれば悪質な使い方もできてしまうことを頭にとどめておこう。また自身がこうした巧妙な手口に騙されないよう、十分な注意を払うことも必要だ。
国内外のChatGPT活用事例
ちなみにTABI LABOの過去記事では、ChatGPTを活用した興味深い事例をいくつか取り上げている。最後にその一部をご紹介しよう。
「ヘイ、メルセデス」
車内でAIとの自然な会話が可能に?
ドイツの自動車メーカー「メルセデス・ベンツ」は、車内システムへの「ChatGPT」の試験導入をはじめているらしい。
クルマに向かって「ヘイ、メルセデス」と話しかけることで、声で指示や会話をすることができる。エアコンのオン/オフ、天気予報をの確認などをはじめ、目的地の情報やその日のデ晩ごはんの相談なども楽しめるとのこと。運転しながらだと危険なこともある作業や情報の確認も、ChatGPTに頼れば余裕でできちゃいそうだ。
なんでも悩みをきいてくれる「AIほとけ様」
「ChatGPT 3.5」のAPIを活用して作られた「HOTOKE AI(ホトケエーアイ)」は、テキストで悩みを入力すると、仏教と心理学の両面の視点から回答してくれるお悩み相談サービス。
誰かに聞いてもらいたいけど、なかなか相談できない……。なんてときでも、AIだったら少しは打ち明けやすいかも。
そんなHOTOKE AIに、あえて冷蔵庫の余り物で作れるレシピをたずねてみると……。