「所有」から「解放」へ 。シェアリングエコノミーが変える未来の暮らし方

「所有」から「利用」へ──。

価値観の転換が進む現代において、新たな経済の潮流が生まれています。それが「シェアリングエコノミー」。とくに、デジタルネイティブ世代であるZ世代は、この新しい経済システムと高い親和性を持っているように思います。シェアリングエコノミーが生み出すビジネスチャンスを事例をもとに見ていきましょう。

シェアリングエコノミーの概念と背景

シェアリングエコノミーとは、個人間で資産やサービスを共有・交換することで、資源の効率的な利用を目指す新しい経済モデルです。具体的には、自動車、住居、スキルなどさまざまなものが対象となり、「Uber」や「Airbnb」はその代表的な例。本質的に、シェアリングエコノミーは「所有」よりも「利用」を重視するコンセプトに基づいており、経済の新たな可能性を拡げています。

また、従来のビジネスモデルのように企業から消費者へのモノやサービスの取引き(BtoC)から、消費者同士による取引き(CtoC)が進んだこともシェアリングエコノミーの特徴のひとつと言えるでしょう。

技術の進歩とインターネットの普及によって、シェアリングエコノミーは急速に発展しました。とくにスマートフォンの普及が、手軽にサービスを利用・提供する環境を整え、シェアリングエコノミーを加速させたと言えるでしょう。また、ゼロエミッション社会を目指す政府や企業の動き、消費者の意識の変化もシェアリングエコノミーの成長に大きく寄与しています。

シェアリングエコノミーの起源は、アメリカのIT企業が先駆けとなりました。2007年に設立された「Airbnb」や2009年に創立された「Uber」などが、このビジネスモデルの先導者です。これらのサービスは、従来のビジネスモデルと異なり、個人が資産を他の個人にシェアする新しい形を提案しました。「Airbnb」は、旅行者がホストの家に滞在することで宿泊費を抑えつつ、ホストにとっても収入源となるモデルを提供しています。

このモデルは資産を最大限に活用し、環境負荷を減らすことができるため、環境意識の高まりとともに人気を集めています。すこし古い情報にはなりますが、英調査会社「Juniper Research」の調査によると、2017年には全世界で約470万人ほどだったライドシェアのドライバー数が2022年には、およそ860万人ほどまで増加するといった予測も。新しい交通手段として世界のライドシェアの伸び率をみても、これに近い数まで増加していることが推測されます。

このようにシェアリングエコノミーは、現代社会で重要な役割を果たし、今後もさならる発展が期待されます。

シェアリングエコノミーの最新事例

シェアリングエコノミーのメリットとその普及は、国内外で顕著に見られます。

たとえば、個人間で商品を売買できるフリマアプリや、自動車を必要な時間だけ借りることができるカーシェアリングサービスなどは、とくにZ世代に人気のサービス。また、個人の知識・経験・スキルをネットショッピングと同じように売買できるプラットフォームとして、2012年にサービスを開始したのが「ココナラ」です。デザインやライティング、コンサルティングなどのスキルを提供・購入でき、フリーランスの機会を広げ、これにより、労働市場の流動性が高まり、多様な働き方が実現されています。

海外で注目を集めているのが「Turo」。ユーザーが自分の車を他の個人に貸し出すことができるカーシェアリングプラットフォームで、アメリカを中心に広がっています。さらに、電動スクーターを提供する「Lime」や、家庭やオフィスの簡単な作業を他の人に依頼できる「TaskRabbit」なども人気です。これらのサービスはエコロジカルで便利な移動手段を提供し、都市生活を支えています。

シェアリングエコノミーの最新事例から見えてくるのは、新たなビジネスモデルが社会に与える積極的な影響です。とくにZ世代は、資産を所有するよりも共有やレンタルすることに対して柔軟な姿勢を持っており、このトレンドはシェアリングエコノミーの成長を加速させていると言えるでしょう。

国内シェアリングエコノミーの将来予測

日本におけるシェアリングエコノミー市場は、2020年代初頭から急速に拡大しており、将来的には更なる成長が予測されています。なかでも、以下の分野において成長が見込まれています。

モビリティサービスでは、とくにカーシェアリングやバイクシェアリング、電動スクーターシェアリングが注目されています。これらのサービスは、都市部の交通渋滞や環境問題の解決策として、ますます普及が予測されます。実際、日本政府もカーシェアリング市場の拡大を積極的に推進しており、これにより都市交通の効率化が期待されています。

さらに、物品シェアリングプラットフォームも成長。オフィス用品、DIY道具、ファッションアイテムなど、さまざまな物品を共有することで、個人や企業がコストを削減することができます。これにより、資源の有効活用と経済効率の向上が図られています。

スキルシェアリングでは、オンラインでスキルを共有するプラットフォームが特に需要を増しています。パンデミック以降、リモートワークが急速に普及し、オンラインレッスンやコンサルティングサービスの需要が増加しています。これにより、多様な働き方が実現され、従来の労働市場の枠を超えた新しい可能性が広がっています。

国もシェアリングエコノミーの推進に力を入れており、法規制の整備助成制度の拡充を通じて、市場の健全な発展を促進しています。また、大手企業も積極的に参入しており、今後の市場拡大が期待できるでしょう。

このように、日本国内のシェアリングエコノミーは、多様な分野での成長が見込まれており、今後のビジネスチャンスも広がっています。

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