中国、自転車シェアリングの意外な主人公。

仕事で中国と日本を行き来するようになって約5年。今では1年の半分以上を北京で過ごしています。

そんな自分にとって中国の変化のスピードは、もはや当たり前。何を見てもいちいち驚かなくなりました。

「経済発展」や「デジタル化」、そして「急速な社会的成熟」。

日本国内でもよく耳にするであろうこれらのワードは間違いなく中国の真実です。だけど、私が一番面白いなあと感じているのは、社会全体の大きな変化じゃなくて、普通の人たちの変化への対応っぷりです。

今回は、そのなかでも自転車のシェアリングサービスについて書いてみたいと思います。 

ランニング姿のオジサンだって、シェアリング!

中国の都市部では自転車のシェアリングがみるみる広がっています。

今夏、日本国内でも札幌でローンチされ話題となった『Mobike』のオレンジ自転車をはじめとして、ここ北京では随分前から色とりどりのシェアリング自転車を街を席巻しています。

中国といえば自転車というイメージ。その大量の自転車が、今やどんどんシャアリング自転車に取って代わっています。

この夏もランニング姿のオジサンが、しげしげと自転車を眺めていたかと思うと“よっしゃ使ったるか!”と決心。恐る恐るスマホをかざして、自転車にまたがっていくのをしばしば目撃しました。

別の日には、若い女の子が使うのを横目で見ていたオバサンが、唐突に“やり方教えて”と声をかけ、スイスイ自転車に乗ってさっていきました。

あと、小学生が遊びに使って、2人乗りしてコケてたりとか。

こうして次々にみんなが参戦してきます。“お〜! 乗れた〜!”と拍手を送りたくなるような光景です。

とにかく誰もがやってみる感覚であれよあれよと使い始め、あっという間に浸透しました。利用者もさまざまで、利用目的も多岐にわたります。

主人公は「意識していない系」。

そんな光景を日常で目の当たりにしていると、北京の街全体が新しいことの実験場のようにに思えてきます。ちょっとした近未来SFの中にいるみたい。

日本では“次世代のスマートなビジネス”というイメージが強いシェアリングサービスですが、北京では本当に普通の生活者がもっとも使いこなしています。人々にみなぎる“なんか新しいモノがあるなら、使ってやるぞ”という前のめりなスタンスこそが、この街を進化させている気がします。

私は、そんな人々に尊敬を込めて「意識していない系」と呼んでいます。私自身、「意識高い系」よりも、そうありたいとう気持ちも込めて。

進化ってそういう人たちのためのものじゃないとね!

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。