この自転車は、「かつての北京」を取り戻すためのチャレンジだ

北京に行った時、大気汚染で最も深刻な状態を表す「赤色警報」が出ていた。日の光がスモッグで霞んでオレンジがかり、午前なのにまるで夕方のような光景だったのを覚えている。

同じような体験をしたことをキッカケに、ある自転車を開発したのは、オランダ人アーティストDaan Roosegaardeさん。今までの大気汚染対策は、「いかに汚さないか」がメインだったが、これならすでに汚れてしまった空気を少しずつ綺麗な状態に戻せるかもしれない。

乗れば乗るほど、
汚染物質を取り除く

彼が考えたのは上のようなイメージ。この自転車で走れば、ハンドル箇所に搭載されたフィルターを汚染された空気が通り抜けることで、有害な物質がカットされるらしい。

で、どのようなフィルターかというと──。

北京と天津で大型空気洗浄機として活躍中の「Smog Free Tower」に使用されているもの。このタワーも同じくDaanさんが設計しているそうで、ある研究者曰く、マスクでもカットするのが難しいと言われるPM2.5を50%も取り除いてくれるのだとか。

他には、カットした汚染物質を閉じ込めたジュエリーを作る、なんてことも。自転車、タワー、ジュエリーの3つの活動を総称し「Smog Free Project」と呼んでいるそう。この取り組みは、中国政府からも支援を受けているようだ。

北京のイメージを一新させるため

ご存知の通り、中国では大気汚染が深刻。それに伴い、自転車に乗る人も減少中。だからこそ、多くの人がクルマを選び、結果として排気ガスが増えてしまう悪循環があるとのこと。

そこで、彼はこう言う。

昔は、北京といえば自転車が多いというイメージだった。もう一度、文化的な象徴として人気を取り戻したいし、大気汚染がない都市を目指したいと思っている

ちなみに、この自転車は現在開発段階。いま注目が集まっている同国のシェアバイク「Mobike」への搭載も目指しているとのこと。

Licensed material used with permission by Studio Roosegaarde
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