「気候危機」についてミレニアル世代と話してみた

ニューヨークに住んでいたとき、日々の行動が環境にどのような影響を与えているかを意識するのはごく自然なことだった。

私が東京に1年しか住んでいないがゆえに、環境活動家や環境意識の高いコミュニティにまだ触れられていないだけかもしれない。でも、それを差し引いたとしても、ミレニアル世代や私(29歳)の周りの多くの人々は環境問題について話すことをほとんどしない。

スーパーのほとんどの野菜がプラスチックで個別包装されている日本に来た今、環境への影響を考えることは非常に難しい。

これは、私が出会った人々が気候危機に気づいていないということではない。週末に長野県を訪れたとき、地元の人たちは皆、それを受け入れて不作や雪不足についての不安を話していた。 教育、会話、気づきの余地がまだまだあるように感じている。

私は毎週、『Vox』『BBC News』『LastWeek Tonight』といったメディア、YouTube、Instagram(@fash_revや@greenmatters)を通じて、気候変動や環境問題に関して勉強している。

ニューヨークに住んでいるとき、私はこれらの問題に詳しい人々と知り合いました。気候に関する会話にもっと積極的になるよう私を刺激してくれて、気候危機のデモに参加するようにもなった。

そのなかでも、特に親しい友人が、MegLazaros

©Meg Lazaros

2015年、Refinery29で働いていたときにMegと出会った。とても素晴らしい人間で、私にたくさんのことを教えてくれた。

MegはNoodというゼロ・ウェイスト歯磨きの会社を設立し、Bestow Gift Wrap(100%リサイクルの繊維で再利用可能なギフトラッピング)を立ち上げた。「#WasteWatchers」という取り組みでは、地元のコミュニティスペースでゴミ拾いもしていた。

私のお気に入りは、「地球の未来について考えることから生じる不安」に焦点を当てたInstagramのシリーズ。Eco-Anxiety convosというシリーズは、彼女が志を同じくする人と、出会い、話し合う。その中で彼らは思慮深い会話をしているから、うまく自分ごと化できる。

気候変動について話し合う彼女のアプローチは、「気候変動を考える」ということだけでもこの世界に影響力を持つことができると教えてくれる。 この機会に彼女と話すことで、もっと学びたいと思った。

©Meg Lazaros

──日常生活で、私たちは気候危機にどのように貢献できますか?

 

Meg:私たちの日々の食事の選択、旅行の頻度と手段、家庭のエネルギー消費、商品やサービスの消費すべてが環境に影響を与えます。毎日の選択を微調整するだけで、非常に前向きな影響を与えられると思っています。

 

──気候危機の現状はどのようなもので、私たちにどのような影響を与えていますか?

 

Meg:私たちへの生活への影響は非常に大きいと考えられています。気候危機は非常に複雑で相互に関連した問題。いくつかの重要なポイントがあります。

・19世紀以降、地球はすでに摂氏約1度まで温かくなっていて、積極的に行動しなければ、今世紀の終わりまでにさらに3度温かくなる。(科学者が警告するよりも2.5度高くなる)

・気温が高くなると、ハリケーン、洪水、干ばつ、山火事などの異常気象が発生する。これらはすべて、食物を育てるには困難な環境を作り出し、ひいては飢餓と食糧不安を引き起こし、大きな社会的対立につながる可能性がある。公衆衛生上のリスクも生み出し、病気やウイルスが増殖する環境は拡大。極端な暑さは、熱中症や心臓発作による死亡の一因にも。

・2019年は2番目に暖かい年であり、2016年の過去最高をわずかに下回っている。海洋種と生態系に影響を与え、サンゴの白化を引き起こし、食糧安全保障を脅かす、世界の海洋にとって記録上もっとも暖かい年だった。

・科学者は、植物、昆虫、鳥、哺乳類の100〜1500種が24時間ごとに絶滅すると推定している。絶滅は自然の摂理だが、この速度は自然の絶滅速度の1,000倍以上。6500万年前の恐竜の時代以来、地球上では例をみない。健康な生態系は、植物や動物の種に依存している。種が絶滅の危機に瀕する、それは生態系が崩壊しつつあることを示している。

・毎年、推定800万トンのプラスチックが海に行き着き、海洋生物を殺し、沿岸地域の健康と経済に影響を与えている。

気候危機について詳しく知りたい場合は、気候変動に関するIPCCレポートが最適。現状を包括的かつ客観的にレビューしていて、このままこの状況が続けば、近い将来にどのような影響が出るのかを知ることができる。

©Meg Lazaros

──気候危機にもっとも大きな影響を与えるものは?

 

Meg:人々が変化を起こすことができる方法はたくさんあります。個々のアクションは小さく、取るに足らないと感じるかもしれませんが、他の多くのアクションと組み合わせると、大きな力になります。

例えば、使い捨てコーヒーカップの代わりに再利用可能なコーヒーカップを使用すること。大したことではないと思うかもしれません。しかし、世界中の人々が再利用可能なコーヒーカップを使用すると決めた場合、毎年160億個以上の使い捨てコーヒーカップを埋め立て地に送らなくて済みます。

だから私は、たとえ小さなことでも、できる限りのことをするように人々に伝えたいのです。そして、あなたの小さなアクションが、時間とともにもっと多くのアクションにつながる可能性があります。

他のアクションは、買い物の際にエコバッグを使う、再利用可能なボトルを使う、カーシェアリングや公共交通機関を使う、自宅で使用する水と電気を最小限にする、中古品を購入するなど。

「植物ベースの食事への移行」「飛行機に乗るのを最小限にすること」はあなたの人生の中で、大きな影響力を持つ選択です。

これらすべてに加えて、環境を支える、最も重要な方法は、自分自身を教育することだと思います。どの政治候補者が地球を保護する政策を打ち立てているのか?好きなブランドが環境に対してどのようにアクションしているのかなどを知りましょう。

知識は力です!

 

──消費についてもっと意識するために、私たちはどのような行動を取ることができますか?

 

Meg:大事なのは、小さく始めること。環境にやさしいことをするために自分自身にチャレンジする日を確保する。

たとえば、廃棄物となるプラスチックを購入せずに一日を生きてみて。そしてあなたがどのように生きているかについて学んでください。

私がはじめて自分の消費習慣とそれをどのように変えることができるかを理解しようとしたとき、「30日間の廃棄物ゼロ」に挑戦することにしました。埋め立て地に何も送らないようにし、ゴミを出した場合、購入した商品を確認できるように月末まで捨てずにいました。この30日間は多くのことを教えてくれました。自分のゴミや、自分が気づいていない習慣を理解できました。

それ以来、10日間のビーガンチャレンジ、90日間の購入なしチャレンジ、100日間の自転車での仕事チャレンジなど、他の多くのチャレンジを経験しました。

チャレンジを通じて、いつも新しい視点を手に入れました。(購入なしチャレンジでは600ドル以上節約できたの!)

 

──消費をもっと意識するために、どのような習慣を日常生活に取り入れていますか?

 

Meg:広告の魅力を感じずに、この世界で暮らすのは難しいと思います。購入!購入!のメッセージが常に私達に寄せられています。毎日人口と同じくらい、新たに販売されているものがあるようです。そのほとんどは完全に不要。衝動買いをしないために、マインドフルショッピングを練習しています。

買い物をしているときに何かが目を引く場合は、一度家に帰って数日待ってみます。ほとんどの場合、アイテムを完全に忘れてしまいます。これは、そもそもアイテムが本当に必要ではないことを示しています。

しかし、私がまだそれについて考えているなら、私は再びそれをチェックするために戻って行くかもしれません。そのとき、私がアイテムに興味を持っている理由と、それが私の人生でどのような役割を果たすのか、自問自答します。

これは本当に必要?これが必要だと感じるのはなぜ?

この新しいものを購入する代わりに、借りたりできない?

毎週使う?毎月?月に1回未満ですか?

持続可能な材料で作られている?

それは長年にわたって使えるほど頑丈?

ほとんどのモノが、私の限られた稼ぎと生活空間にふさわしくないことに気づきました(NYのような都市に住んでいると、物価も非常に高いのである程度ミニマリストにならざるを得ません!)

©Meg Lazaros

──将来的に地球にやってくるであろう「Eco-anxiety(環境問題への不安)」にどのように対処すればいいのでしょうか?

 

Meg:一人ですべてをやる必要はないということを覚えておくべきです。

自宅でコンポストを始めるのは素晴らしいことです。自動車の代わりに自転車で移動できることも素晴らしい。どんなに小さなことであっても、始めることは何もしないより圧倒的に優れています。

不安に対処するときに私が与えるもう1つのアドバイスは、完璧であるという恐怖を取り除くことです。あなたは完璧な活動家、完璧なコンポスト、完璧なビーガンなどである必要はありません。

より持続可能に生きようと努力することは、私たちの将来に対する不安と戦うのに役立ちます。しかし、完璧である必要性を感じることは、より多くの不安を生み出します。ときには努力を放棄することにもつながりかねません。

環境を気にすることを「お休みする日」があったとしても、自分を責めないでください。それは道のりの一部です。決定の背後にある意識こそがもっとも重要です。

 

──地球を気にかけるうえで、私たちの役割に取り組み、それを果たす上でもっとも役立つアドバイスは何ですか?

 

Meg:私たちはみな、気候危機の「転換期」にいます。私のアドバイスは、みなさんが本当に興味のある領域を見つけること。 動物が好きなら、動物の生息地を守る方法を見つけましょう。 海岸に住んでいて、きれいな海を気にしているなら、ビーチの清掃を計画してください。 あなたが私たちの惑星について愛しているものを守ってください。 素晴らしい景色が待っているはずです。

Top image: © Meg Lazaros
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。