ミレニアル世代が、「地球のための下着」を考えた。

普段からInstagramをスクロールしていて私が気になるものと言えば、派手に着飾らないナチュラルな女性たち。そんなルーティンの中でたまたま親指の向こうに見えたランジェリー姿の女性に目がとまった。下着のまま茂みの前でポーズをとるその凛々しさは、私の憧れそのものだったから。

アカウントをのぞいてみると、どうやらHARAというブランド。気づけば商品リリースにまで目を通していた。そこに綴られた文言は、私と同年代の創業者による、優しくも力強いメッセージ。どうしても、彼女に話を聞きたい…。

「ファッションが大好きな学生だった」

ニュージーランド出身でオーストラリア育ちの24歳。高校生の頃からファッションに夢中だったAllieは、ファション業界が社会や自然環境に与えるインパクトを自分の目で見て回るため世界中を旅した。2016年にHARAを立ち上げ、現在インドネシアで活動を行なっている。

学生時代はヴィンテージの洋服が大好きだったと語る彼女。過剰な量の洋服を所有していた時期もあったという。

「あの頃、私も友達も当時のトレンドに合わせてたくさんの洋服を持っていた、その洋服にどれだけの社会的影響力があるのかも知らずにね。当時はトレンドやブランド品を着ることで変化する自分の姿とそれに対する満足感があったの」

そんな彼女がファッション産業の問題について考えるようになったのはある作品と出会ってから。

きらびやかなファッション産業の裏側

バングラデシュにあった縫製施設の「ラナ・プラザ」が崩壊した事故からファッション産業の裏側を映した、アンドリュー・モーガン監督作品『ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション真の代償〜』。

「このドキュメンタリーを見たときは驚いた。この世界には変化しなければいけないことが起こっていたのに、私はそれすらも知らなかったから」

その後、アメリカ、タイ、インド、オーストラリア、インドネシアへ現地調査の旅へ出たAllie。なかでも「HARA創設に当たるパッションやモチベーションはインドで見た光景が大きく影響している」と彼女は語る。

 「オーガニックコットンとそうではないコットンが混ぜられ販売される過程だったり、工場から布を染める際に使用された薬品が近くの川に垂れ流しになっていたのを目にした。

外を歩けばその街中に病人がいて彼らもまた、薬品が混ざった川の水を飲んでいたの。これには心が痛くてね。本当にやるせない気持ちでいっぱいだった。なぜ、数回しか着られないTシャツのためにこんなにも辛いことが起こっているの?って」

Allieは自らファッションで、自然環境やその産業に携わる人たちへの影響を変えようと改めて決意したという。そうした意志の現れとして、有害な化学染料を使用する代わりにナチュラルな素材を使用した商品の開発に取り組んでいる。「今後はインドネシアだけではなくベトナムや中国も訪問しグローバルに活動していきたい」と話し、ファッション業界に新しい風を吹かせようとしている。

「地球を壊そうとしているのかもしれない」

「個人がメディアだ」。そんな言葉を耳にすることも多くなった。簡単に情報を発信し、膨大な情報を受け取ることが身近になった現在では、その情報が与える影響力も増したように感じる。

めまぐるしく変わるトレンド、インフルエンサーを起用した広告は、まさにSNSの影響力の象徴ではないだろうか。日課のタイムラインチェックや投稿が、いつのまにか他人から見られている、いや、注目されたいという承認欲求のみを加熱させた可能性だってある。

写真に写る姿がありのままじゃないなんてわかっているのだけれど... イイねが多くつく写真に近づきたくなってしまうもの。物質主義の原因とも言える「容姿>中身」の考え方を結果として広めてしまったSNS。ファッション産業や消費者にも多大な影響を与えていることは言わずもがな。

デジタルネイティブと言われるミレニアル世代の私も、そんな消費者の一人。だからこそ「若い女性に強く、そしてありのままの自分になってほしい」というメッセージが込められたHARAのInstagramに並べられたポートレートは、私の心を掴んで離さなかった。SNSで気づかない間に自分自身をブランディングしている私たちに警鐘を鳴らしているかのように感じた。

Allieは同年代の若い女性に向けて「本当のあなたがメディアや社会によって影響されないでほしい。あなた自身のままで、自分の気持ちに従って」とメッセージを送った。SNS全盛期に生きる私たちにとって、ファッションの「あり方、選び方、消費の仕方」を見直すことが、この状況を改善する一番の解決策になりはしないだろうか。

ランジェリーが気になった方はコチラへ立ち寄ってみてほしい。

Licensed material used with permission by HARA
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。