見過ごされがちな心のSOS「クワイエット・バーンアウト」が、いま危ない!
現代社会において、多くの人が経験する燃え尽き症候群、いわゆる「バーンアウト」。 過度なストレスや疲労が蓄積することで、心身にさまざまな不調が現れる状態だ。
だが近年、その陰に隠れがちな「静かなバーンアウト(Quiet Burnout)」が注目されている。 これは、自覚症状が乏しく、気づかぬうちに進行してしまうため、より危険視されているらしい。
表面化しない疲労
クワイエット・バーンアウトとは?
「Quiet Burnout(クワイエット・バーンアウト)」は、従来のバーンアウトとは異なり、周囲はもちろん自分自身でも気づきにくいという特徴を持つ。「South China Morning Post」の記事によると、クワイエット・バーンアウトは、抑うつ状態、心臓疾患、その他さまざまな健康問題を引き起こす可能性があるにもかかわらず、しばしば診断されずに放置されてしまうという。
同記事内で、ドイツ心理療法士協会の副会長Christina Jochim氏は「バーンアウトは精神疾患ではなく、同時に起こりやすく、臨床的なうつ病の深刻なリスクとなりうる症状群だ」と指摘。表面化しない、自覚症状もないという点にクワイエット・バーンアウト最大の危険が孕んでいる。
パフォーマンス低下・人間関係の悪化
負のスパイラルを引き起こすことも
また、クワイエット・バーンアウトは仕事のパフォーマンス低下にもつながるようだ。 集中力や意欲の減退、ミス増加などが顕著になり、成果が出せない状態に陥ってしまうこともあるらしい。ほかにも、コミュニケーション不足やイライラしやすくなるなど、対人関係にも悪影響を及ぼす可能性がある。その結果、孤立感を深め、さらに静かなバーンアウトの状態を悪化させるという悪循環に陥ってしまうことも少なくない。
現代人の心に潜む“燃え尽き”
「クワイエット・バーンアウト」の要因
クワイエット・バーンアウトの増加は、現代社会特有の要因が関係していると考えられている。 成果主義の浸透によるプレッシャー、SNS上での他人との比較による劣等感、そしてコロナ禍で加速したリモートワークによる孤独感の増大などが挙げられる。
これらの要因が複合的に作用することで、知らず知らずのうちにストレスを蓄積し、心の疲弊を招いている可能性は否定できない。 実際、日本の大手企業においても、従業員のメンタルヘルス対策は喫緊の課題となっており、経済産業省は2020年、「働き方改革推進支援センター」を設立し、企業へのサポートの強化を始めた。
“燃え尽き”から身を守るために
クワイエット・バーンアウトは、決して他人事ではない。 現代社会を生きる私たちにとって、誰もが陥る可能性のあるリスクと言えるだろう。 だからこそ、日頃から自身の心身のケアを意識し、ストレスを溜め込まない生活習慣を心がけることが重要。
たとえば、十分な睡眠時間を確保すること、バランスの取れた食事を摂ること、適度な運動を習慣化することなどは、基本的なセルフケアとして有効だ。 また、趣味やリラックスできる活動に時間を割いたり、友人や家族との時間を大切にすることも、ストレス軽減に繋がると考えられる。
そして、もしも自分がクワイエット・バーンアウトの兆候を感じたら、一人で抱え込まずに、信頼できる人に相談したり、専門家のサポートを求めることも視野に入れてはいがかだろう。静かなる脅威であるクワイエット・バーンアウト。 その深刻さを認識し、自分自身の心と身体の声に耳を傾け、早めに対策を講じる必要がある。
👀GenZ's Eye👀
疲れを取るサプリなどがバズる今日、見直すべきなのはセルフケア。刺激的な日々を過ごすのもいいけど自分のブレーキを踏むのも覚えておきたい。若い世代が結果を残しているのをSNSで見続けて焦ることもあるけど、「体力の前借り」を無意識にしないように。