五感を揺さぶる食のテーマパーク。世界初の「BBQ博物館」
ジューシーな肉の焼ける音、香ばしい煙の匂い、甘辛いソースが絡みつく光景……。生粋のキャンパーだろうがなかろうが、五感を刺激するバーベキュー(BBQ)は誰もが魅力される食のエンタメのひとつ。
そんなBBQ愛好家たちの夢を詰め込んだ、世界初の「BBQ博物館」が2025年春、米カンザスシティにオープンするらしい。
BBQのレシピを“解剖”する
五感をフル活用して味わう、奥深いBBQの世界
「Smithsonian Magazine」の記事によると、どうやらただの博物館ではなさそうだ。BBQの歴史や文化を五感で体感できる、新感覚のエンターテインメント施設を目指しているという。
博物館は「ストーリーテリング・トレイル」と名付けられた2つのエリアで構成される。ひとつめのエリアでは、肉、スパイス、ソース、薪、煙といったBBQの美味しさの秘密を、その要素ごとに深く掘り下げていく展示。素材が織りなすハーモニーを五感で感じ、BBQマスターたちの匠の技を体感できる空間になる様子。
2つめのエリアでは、アメリカにおけるBBQ文化の奥深さを体感する空間。ノースカロライナ、テキサス、メンフィス、そしてカンザスシティ。独自の進化を遂げた、四大BBQエリアを巡る旅へ出発!地域ごとの特色を、味覚だけでなく、歴史や文化と共に味わえるらしい。
巨大BBQビーンズ鍋でひとっ風呂?
子どもも大人も楽しめる仕掛けが満載
注目すべきは、子どもも楽しめる工夫が凝らされている点。なんと、巨大なBBQビーンズ鍋を模したボールプールが登場するらしい。カスタムメイドのビーンズのイラストや、思わずクスッとなるビーンズにまつわる言葉遊びも用意されるという。大人も童心に返って楽しめる空間は、家族でのお出かけにも最適といったところだろう。
体験型施設ブーム到来
五感を刺激する博物館が街を変える
近年、ただ見るだけではない、五感を刺激する体験型施設が増加している。たとえば、デジタルアートと融合した体験型美術館や、VR技術を駆使したアトラクション施設など、従来の枠を超えたエンターテイメント空間が人気を集めている。
BBQ博物館もこうした体験型施設ブームの波に乗り、カンザスシティの街に新たな風を吹き込む存在となるだろう。4223平方フィートという広大な敷地で展開されるBBQの世界は、きっと多くの観光客を魅了するはずだ。
BBQを通して人と街を“発酵”させる
「BBQの聖地」カンザスシティの挑戦
博物館の共同設立者である Jonathan Bender氏は、「バーベキューはみんなで分かち合うもの。“It’s meant to be experienced together”(共に体験するもの)」とKCTVのインタビューで語っている。
同氏によると、この博物館は、人々を結びつけ、バーベキューの要素や地域と繋がることを目的としている。博物館設立の背景には、カンザスシティのBBQに対する熱い想いが込められていることは伝わってくるはず。というのも、カンザスシティは100軒以上のBBQレストランがひしめき、「BBQの殿堂」や「World Series of Barbecue」などのイベントも開催される、まさにBBQの聖地だ。
「Smithsonian Magazine」が紹介する。1900年代初頭、Henry Perryという人物がメンフィスからカンザスシティに移住し、煉瓦造りの地面に掘った穴で肉を調理したのが、同市におけるBBQ文化の始まりといわれている。彼の作るBBQは評判を呼び、人々は遠くから彼の味を求めて集まったという。
BBQを通して人と街を繋ぎ、新たな魅力を生み出そうとするカンザスシティ。五感を刺激する体験型施設として、地域活性化の起爆剤としての役割も期待される、世界初のBBQ博物館。オープンが待ち遠しい。