東洋のラスベガス、「カジノ依存」脱却のとき
きらびやかなネオン、華麗なショー、そしてカジノ──。
「東洋のラスベガス」と称されるマカオは、長らくギャンブルを経済の柱としてきた。中国返還後の2002年よりカジノ産業の拡大・自由化を推し進め、わずか4年後には、それまでの王者ラスベガスを押さえ、世界最大のギャンブル都市の座を勝ち取った。
そんなマカオが今、大きな転換期を迎えている。
一極集中からの脱却
影を落とす「カジノ依存」という現実
「South China Morning Post」の記事によれば、カオはカジノ経済からの脱却を迫られ、新たな成長戦略を模索し始めているという。
カジノ経済の成功は、マカオに莫大な富をもたらした。しかし、そのいっぽうで、経済構造がカジノ収入に極端に依存してしまうという、脆さも露呈することに。
近年、その歪みは顕著化している。中国政府による汚職取締りの強化や、新型コロナウイルスの世界的な流行によって、マカオ経済は大きな打撃を受けることになった。とくに中国本土からの観光客減少は、マカオ経済にとって深刻な問題だ。記事では、これらの要因が重なり、近年、マカオ経済は深刻な景気低迷に陥っていると指摘している。
こうした状況を受け、中国政府はマカオ政府に対し、「経済の多角化」を繰り返し要求。カジノだけに頼らない、持続可能な経済構造の構築が急務となっている。
ポストコロナ時代の起爆剤へ
観光コンテンツの多様化戦略
試練に直面するマカオだが、その歩みを止めるわけにはいかない。ポストコロナ時代を見据え、新たな観光資源の開発や、これまで埋もれていた文化・歴史の魅力を発信するなど、さまざまな取り組みが開始されている。
その一つが、統合型リゾート(IR)としての進化だ。カジノだけでなく、エンターテインメント施設、ショッピングモール、国際会議場などを拡充することで、より幅広いニーズに対応。家族連れでも楽しめる施設やイベントも充実させ、「アジアのエンタメ都市」としての地位確立を目指している。
また、近年注目されているのが、ポルトガル統治時代の名残を残す街並みを生かした観光だ。エキゾチックな雰囲気漂う歴史的建造物や教会群を巡るツアーや、マカオ独自の食文化を体験できるグルメイベントなど、文化的な魅力を前面に押し出した観光コンテンツ開発も進んでいる。
マカオの挑戦、その未来は
他の観光都市の「未来予想図」
長年の“カジノ依存”から脱却し、新たな魅力を創造しようとするマカオ。その挑戦は、他の観光都市にとっても無関係ではないだろう。グローバリゼーションが加速する現代において、いかにして独自の文化や歴史を活かしながら、持続可能な観光モデルを構築していくのか。
マカオの挑戦は、その未来を占う試金石であると同時に、他の観光都市にとっても重要な教訓を与えてくれるはずだ。