震災にも空襲にも耐えた、「東洋の宝石」

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

旧帝国ホテル・ライト館落成式の日

ホテルオークラ、ニューオータニとともに御三家と呼ばれる帝国ホテル。その旧本館を設計した人物といえば、ご存知フランク・ロイド・ライトです。

地上3階(中央棟5階)、地下1階、客室270室の旧本館(別名:ライト館)。西洋文化を進んで取り入れてきた時代背景にあって、ライトは西洋の視点から日本固有の美にフォーカス。“東洋の宝石”とも称された造形美が随所に発揮され、ライトの最高傑作として知られています。

そのライト館がお披露目となったのが、1923年の9月1日。そう、死者、行方不明者合わせて14万人以上を出した未曾有の大災害「関東大震災」が発生した日。

落成記念披露宴の準備が進められていたまさにその時、突然の揺れがライト館を襲いました。周辺の多くの建物が倒壊、火災に遭うなか、驚くことに同館は大きな損傷をまぬがれることに。

その理由とされているのが、エントランス前にあった大きな池。揺れのあと火の手が建物に迫るなか、池から汲み上げた水で懸命に延焼を食い止めることができたんだそう。じつはこの池、当初の建築予算がオーバーするなか、ライトが「防災のために」と押し切ってつくったんだとか。

東京が大被害を受けながらも、ほとんど無傷で変わらぬ勇姿を見せたライト館は世界的に賞賛をあびることに。

1964年に新本館建設のため取り壊しとなったライト館は、現在、愛知県犬山市の「博物館明治村」に玄関部分だけが移築され、当時の面影を今に伝えています。コロナが落ち着いたら、一度訪れてみてはいかがでしょう。

Top image: © dowraik/Shutterstock.com
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