「食」と「自然」を五感で学ぶ、ワタミの「新しい食育」
スーパーで並ぶ野菜たち。産地や値段にこだわることはあっても、それがどんな場所で、どんなふうに育ったのか、想像してみる機会は少ないかもしれない。
私たちが口にする「食」は、言うまでもなく多くの人の手と自然の力によって支えられている。そして、その背景には、地球環境問題や食の安全など、私たちが未来に向けて考えなければならない重要なテーマが隠されている。
ワタミが仕掛ける、新しい食育の形
外食産業を中心に幅広い事業を展開する「ワタミ株式会社」が、去る10月26日、子どもたちを対象とした「職業体験型食育プログラム」を開催。これは、一般社団法人「サスティナブルフードチェーン協議会(SFA」)が主催する東京都の提案事業「未来を担う子どもたちへの食の支援促進」の一環として行われたもの。
ワタミによると、子どもたちの健やかな成長に必要な「食」や「職業を通じた体験、地域との関係性」を届けることを目的としている。
都会の一歩先へ!
五感をフル活用した「農業体験」
舞台となったのは、千葉県山武市にあるワタミファーム。参加した子どもたちは、普段の生活ではなかなかできない貴重な体験を通して、農業と触れ合った。畑では、土の感触を楽しみながら、大きく育ったさつまいもやにんじんを収穫。有機農法で育てられた野菜たちは、虫食い跡さえも勲章だ。
「見たことないくらい大きい野菜にびっくりした!」「カマキリを捕まえたよ!」子どもたちの元気な声が、体験を通して五感が刺激されていることを物語っている。
20mの大木との格闘
忘れられない「林業体験」
農業体験だけではない。子どもたちは、林業の現場にも足を踏み入れた。高さ約20mにも及ぶ大木を、力を合わせてロープで引っ張り倒す「間伐体験」は、参加者全員にとって忘れられない思い出になっただろう。
「木を倒した時の振動がすごかった」「迫力があった」と子どもたち。間伐は、木の成長を促し、健康な森を育むために欠かせない作業。自然の力強さ、そして、人の手で自然を管理することの大切さを、身をもって学ぶことができたようだ。
未来へのリレー
ワタミ創業40周年の記念植樹
今回のイベントは、もうひとつの重要な意味を持つ。2024年5月に創業40周年を迎えたワタミにとって、未来への希望を託す記念すべき節目でもある。参加者全員で3本の栗の木を植樹した。子どもたちの心には、未来への期待と、自分たちが植えた木と共に成長していくんだという責任感が芽生えているかもしれない。
未来への種まき
「食」と「環境」の繋がりを意識
ワタミの「職業体験型食育プログラム」は、子どもたちにとって、食の大切さ、そして、食を支える人々の想いや努力に触れる貴重な機会となった。いま、世界では、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取り組みが加速している。環境問題、食料問題、貧困問題など、私たち人類が直面する課題は山積みだ。
その解決策の一つとして、注目されているのが「エシカル消費」という考え方。環境や社会に配慮した商品やサービスを選択し、消費活動を通して、より良い未来を創造していくという考え方である。今回のワタミの取り組みは、まさにこの「エシカル消費」を促進するものであると言えるだろう。
私たち一人ひとりが「食」について深く知り、生産者への感謝の気持ちを忘れずに、日々の暮らしを送ること。それが、持続可能な未来へとつながる一歩となるはずだ。