害獣問題に終止符?ドイツで「駆除されたアライグマ肉」が人気に
近年、ジビエ料理の人気が高まっている。野生動物の肉は、飼育されたものと比べて低カロリーで栄養価も高く、環境負荷の低さからも注目されている。しかし、私たちが普段口にするジビエ料理といえば、シカやイノシシ、キジなどが一般的だろう。
では、「アライグマ」を使った料理が出てきたら……?
駆除されたアライグマ
「もったいない」を救う新たな食材
衝撃のニュースを報じたのは「CNN」。なんでも、ドイツでいま、駆除されたアライグマの肉を使ったソーセージやサラミが人気を集めているという。開発したのは、猟師のMichael Reissさん。2022年に食肉店を開業し、国際食品見本市で注目を集める商品にと試行錯誤するなか、害獣として駆除されたアライグマに着目したらしい。
「欧州でアライグマの肉を売っているのは我々だけ」「至る所から客が来る。なかにはアライグマを試したくて日帰り旅行と組み合わせ、150キロも運転して来る人もいる」とReissさんはCNNに語る。「評判は上々。まずいとか食べられないとか言う人はいない。みんなに好かれる」と、その人気ぶりに自信をのぞかせる。
ドイツでは、1920年代に毛皮用として持ち込まれた北米原産のアライグマが野生化し、爆発的に繁殖。その生息数は約200万匹と推定され、森林や草原だけでなく都市部でも農作物被害や生態系への影響が深刻化、駆除が急務となっている。
駆除されたアライグマは、これまでほとんどが廃棄されていた。しかし、ドイツでは、この“もったいない”を資源に変えようと、ジビエ料理という新たな価値を見出したようだ。
食のタブーを超えて、未来の食卓へ
当然ながら、日本でアライグマを食材として認識する人は少ないだろう。しかし、近年、世界では昆虫食など、従来の食文化にとらわれない、新しい食のトレンドが生まれている。
日本でも、ペットとして飼われていたアライグマが捨てられ野生化、農作物被害や生態系への影響が問題視されている地域もある。昨年、「読売新聞」が報じたところによると、駆除数は20年前の20倍だとも。
九州などではすでに食用としてのアライグマ肉が流通してるが、食材としてさらに有効活用できるようになれば、害獣駆除と資源活用という2つの課題を同時に解決できるはず。もちろん、倫理的な問題など、クリアすべき課題は山積みだろうが。しかし、食糧問題が深刻化する現代において、新たな食材の可能性を模索することの重要性は増すばかりだ。
👀 GenZ's Eye 👀
害獣の命をいただくことで生態系を維持する。もちろん害獣問題の根本的原因は人間にあることが多いのだが、アライグマのように食べることでその数を減らしていく、という活動を通して私達は地球の掃除屋になっていくのかもしれない。