水を学ぶだけじゃない、サントリー「水育」出張授業に見る次世代教育の鍵

「水は命の源」―。誰もが知る言葉でありながら、その奥深さを知る機会はどれだけあるだろうか? 私たちが日々何気なく使っている「水」。その背景にあるストーリーを知ること、それがサステナブルな未来、そしてより豊かな旅へとつながるかもしれない。

サントリーホールディングス株式会社は、2004年から次世代環境教育プログラム「水育(みずいく)」を展開している。サントリーによると、「水育」は、子どもたちに水の大切さや、水を育む自然環境について、体験を通して学んでもらうことを目的としたプログラムだ。

20年の歴史が物語る「水育」の進化。五感を刺激する学びの場は、教室を超えて

「水育」は、2004年に「サントリー 天然水の森 阿蘇」でスタートし、今年で20年目を迎える。当初は、森の探検や水に触れる体験を通して学ぶ「森と水の学校」が中心だったが、2006年から小学校で出張授業も開始した。

サントリーによると、2024年までには「水育」累計参加者数は119万人を超え、「出張授業」だけでも25万人以上の子供が参加予定だという。45分間の授業を2回行うという小学校4年生から6年生対象の「出張授業」は、座学だけではない。

「水育」が出張授業に持ち込んだ、新たな学びの形とは?

近年、教育現場において注目されているキーワードがある。「主体的・対話的で深い学び」だ。従来の一方的な授業形式から、子どもたちが自ら考え、行動する学習スタイルへの転換が求められている。

「水育」の出張授業は、まさにこの「主体的・対話的で深い学び」を体現したものだと言えるだろう。サントリーによると、従来の体験型学習に加え、オンライン授業や事後学習プログラム「ホームワーク・アクティビティ」を導入し、子どもたちの学習効果を高めているという。

「ホームワーク・アクティビティ」では、子どもたちが自ら調べ、考え、行動する課題が出され、主体的な学びを促進している。さらに、オンライン授業を取り入れることで、時間や場所にとらわれず、より多くの子供たちに「水育」を届けることが可能になった。

© サントリーホールディングス株式会社

環境問題への意識が高まる今、「水育」が私たちに投げかけるもの

世界では、水不足や水質汚染など、水に関するさまざまな問題が深刻化している。日本も例外ではなく、水資源の有限性や、水を育む自然環境の大切さを認識する必要がある。

サントリーの「水育」は、単なる環境教育プログラムではない。水資源の保護という社会課題の解決に貢献するとともに、次世代を担う子どもたちの育成、そして、企業の社会的責任を果たすという、多面的な意義を持っている。

「水育」を通して、子どもたちは水の大切さを学ぶだけでなく、環境問題や社会問題にも目を向けるようになる。そして、持続可能な社会の実現に向けて、自分たちに何ができるのかを考えるようになるだろう。

旅先で出会う、美しい景色、透き通った水、そして、そこで生きる人々の暮らし。その裏側にあるストーリーを知ること、それが「水育」の視点を旅行にも取り入れるということではないだろうか。

Top image: © Philip Thurston/iStock
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。