"ぶぶ漬け、おあがりよ" はトラップ!? 京都人の本音を探る、体感型ミステリーゲームがアツい
古都・京都。歴史が織りなす美しい街並みに、洗練された伝統文化。多くの人が憧れるいっぽう、その奥深さは容易に理解できないのも事実。なかでも「いけず」と呼ばれる独特のコミュニケーションは、時に旅情すら狂わせるミステリー。一見すると冷淡な態度や皮肉に聞こえる言葉の裏に、真意を隠す、それが京都流。
そんな京都人の複雑な心理を読み解く、まったく新しい体験型ゲーム「この先いけずな京町家」が2025年1月に京都市内に登場する。
企画はこれまでにも「いけず」をテーマにしたユニークな商品開発を手掛けてきた「ない株式会社」とデザイン会社「株式会社CHAHANG」。築150年の京町家を舞台に、参加者は「いけず女将」との会話劇に挑戦する。京都の奥深さを体感できる、新感覚ミステリーゲームの魅力に迫る。
攻略のカギは「察する力」?
あなたは「いけず」を読み解けるか
「この先いけずな京町家」は、参加者自身が物語の主人公となり、謎解きゲーム感覚で楽しめる参加型イベントだ。最大4人1組で協力し、女将の言葉の裏に隠された真意を読み解きながら物語を進める。制限時間1時間以内に、女将の心を掴めるかどうかの勝負。各部屋に仕掛けられた「いけず」トラップを回避し、5回目の訪問で究極の目標「女将の信頼」を勝ち取ることができればゲームクリア。
「ぶぶ漬けでもどうどすか?」の言葉は、一見、お茶の勧めにも聞こえるが、実は「もう帰って」という京都流のやんわりとした退去勧告。この言葉を言われる前に、いかに「察する力」を発揮できるかが攻略の鍵となる。
Z世代よ、SNSでの「いいね」はもう古い
リアル体験で「共感力」を磨け
近年、旅のスタイルは大きく変化している。情報収集はガイドブックからSNSへ、旅の目的も観光地巡りから「体験」へとシフトしている。そんななか、注目を集めているのが「コト消費」。モノではなく、そこでしか得られない経験や感動にお金を払う価値を見出す消費行動だ。
「この先いけずな京町家」は、まさにこのコト消費トレンドを捉えたものと言えるだろう。参加者は、単にゲームを楽しむだけでなく、京都の歴史と文化、そしてそこに暮らす人々の感性に触れることができる。SNS全盛期だからこそ、リアルなコミュニケーションを通して「共感力」を育む、貴重な機会になるのではないだろうか。
「おもてなし」の本場、京都発
世界と繋がるコミュニケーションの可能性
「いけず」は、長年、隣近所との距離が近い京都だからこそ生まれたコミュニケーションツールではなかろうか。しかし近年では、地域のつながりが希薄化し、直接的な表現が好まれるようになり、残念ながらこの文化も失われつつある。
「『京都人にこんなヒドイいけずを言われた』というエピソードがSNS上で独り歩きし、よそさんの恐怖をいたずらに煽っているようにも感じます」と、いけず女将役で出演した「大西常商店」四代目女将の大西里枝氏は語る。
企画した「ない株式会社」は、イベントを通して「いけず」を体系化し、世界に向けて発信することで、失われつつある文化の継承を目指している。言葉の裏に隠された真意を読み解き、相手への思いやりを大切にする「いけず」の精神は、グローバル社会において、より円滑なコミュニケーションを実現するためのヒントになるかもしれない。
「この先いけずな京町家」は、参加者にとって、単なるゲーム体験を超えた、深い学びと気づきを与えてくれるだろう。そして、このイベントが、国際的な相互理解を深め、多様な文化が共存する未来へと繋がる一歩となることを期待したい。
【料金】5500円(税込)/1人
※抹茶と和菓子付き
【開催日】2025年1月25日(土)、1月26日(日)
【参加人数】最大4名
【会場】大西常商店(京都府京都市下京区本燈籠町23 松原通 高倉西入)
【チケット】https://konosaki-ikezu.peatix.com
※売り切れ次第販売終了
👀GenZ's Eye👀
オーバーツーリズムの影響により、京都を訪れても本来の文化を感じることが難しくなっている。しかし、「いけず」という京都独特の気質を体系化し、「コト消費」として提供することで、歴史や文化、そして地域住民の感性に触れる機会を創出できるのではないだろうか。