【あま〜い罠にご用心】米大学生を魅了する「危険なハチミツ」

アメリカの大学生の間で、ある“ハチミツ”が話題になっている。「Royal Honey(ロイヤルハニー)」と名付けられたその商品は、一見すると普通のハチミツと変わらない。しかし、その実態は性機能改善を謳うサプリメント。TikTokで拡散されたことで若者の間で爆発的に広がっているという。

“ハチミツ”形状の甘い罠

アリゾナ州のメディア「AZFamily」によると、このロイヤルハニーは、ガソリンスタンドや喫煙具店などで、処方箋なしで簡単に購入できてしまうらしい。日本では考えられない手軽さだが、これがアメリカにおける現実だ。

問題は、その手軽さゆえに潜む危険性。同メディアの取材に応じた医療関係者Nathaniel Bush氏によると、ロイヤルハニーにはED治療薬の有効成分である「タダラフィル」が含まれており、他の薬との飲み合わせによっては深刻な健康被害をもたらす可能性があるという。

実際にロイヤルハニーを試したという学生は、同誌の取材に対し「試しに買ってみただけ。実験みたいなもの」と、その危険性をあまり深く認識していない様子で答えている。

手軽に入手できるというだけで飛びついてしまい、その裏に潜むリスクを軽視してしまっていないか? 私たちが普段何気なく目にしている情報も、同じように捉え直す必要があるかもしれない。

情報社会のワナ
手軽さの影に潜むもの

2017年、アメリカ食品医薬品局(FDA)は「ロイヤルハニーVIPパケット」の購入を控えるよう勧告している。しかし、依然として販売は後を絶たず、TikTokなどのSNSで拡散され、若者を中心に広がり続けているという現実がある。

服用することで抗生物質のほか、心臓病の薬、血圧の薬などに影響し、深刻な医療緊急事態を引き起こす可能性があるとBush氏は警鐘を鳴らす。軽い気持ちで手を出す前に、健康を害するリスクがあることを認識しなければならない。

ロイヤルハニーの流行は、現代社会における情報リテラシーの重要性を浮き彫りにしている。TikTokなどのSNSで拡散される情報は、手軽に入手できるいっぽう、その信憑性を判断する能力が私たちに求められている。

ロイヤルハニー流行の背景に、ソーシャルメディアの影響や、トレンドに乗ることへのプレッシャーがあるとBush氏は指摘。「錠剤ではなくハチミツ飲料という形状も、若者にとって魅力的に映る可能性がある」との懸念を示している。

手軽で魅力的な情報に飛びつく前に、一度立ち止まって、その裏側にある事実やリスクについて、自身の目で確かめることが重要だ。

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