音声アシスタントに「健康情報」を尋ねるのは危険【調査結果】
いまや、自ら検索するまでもなくスマホに問いかければ答えを導き出してくれる音声ガイダンス。たしかに便利は便利。だけど、その情報はどこまで信用に足るものなのか?
それも健康に関する情報だとしたら……。
米スタンフォード大学による実証研究が導き出した答えがこちら。
「健康に関する質の高い情報を提供するには不向き」
当たり前といえば当たり前のはなし。が、それを改めて言われると、説得力も増すってものだ。
今研究は、Amazonが提供する「Alexa」、Appleの「Siri」、「Google アシスタント」などの音声アシスタント機能の利用が増えていることに由来する。Googleによれば、検索の20回に1回は「健康」に関するものだとか。
健康情報について検索する際はとくに注意が必要、と同大学は警鐘を鳴らす理由を見ていこう。
パンデミック前に、さまざまな音声アシスタントにワクチンの安全性に関する一連の質問をした研究では、SiriとGoogleアシスタントはおおむね音声による質問を理解し、ワクチン接種に関する権威ある情報源へのリンクをユーザーに提供できたのに対し、Alexaは音声による質問を理解する数が圧倒的に少なく、回答も権威のない情報源から導き出していたという。
また、「Annals of Family Medicine」誌に掲載された論文によれば、がん検診に関する質問に対して、口頭で回答できない音声アシスタントもあれば、信頼できないソースや検診に関する不正確な情報を提供するものもあったそうだ。
5人の研究者がさまざまな音声アシスタントに、11種類のがんの検診を受けるべきかどうかを尋ねた。対する答えがこちら。
Alexa:「うーん、それはわからない」
Siri:音声での回答はなし。Webページの提供のみ
Google アシスタント:口頭での回答 / リソースの提供
Microsoft Cortana:口頭での回答 / リソースの提供
Siri、Google アシスタント、Cortanaが特定した上位3つのサイトにおいて、がん検診の正確な年齢を提示したのは約60~70%にとどまった。また、口頭での回答の精度に関しては、Google アシスタントは提示したサイトの内容と一致していたものの約64%の制度だったのに対し、Microsoft Cortanaは45%まで落ち込んだ。
「とくに健康に関する情報などセンシティブな問題は、音声アシスタントが信頼できるソースから情報を引用しているかどうかを確認する必要がある」と、調査を担当した社会科学研究者Grace Hong氏は強調する。
言わずもがな、音声アシスタントは医者なわけじゃない。それでも、カラダに不安を覚えたとき手っ取り早く調べたい気持ちもわからないでもない。
知り得た情報からいかにそれを精査するか、そこは使い手の技量が問われるところ。これもまた、当たり前のことではあるが。