世界をトリコにする北欧菓子ブーム!その裏に潜む「光と影」

近年、世界中で特定の国の食べ物がブームになる現象が加速している。

特に、SNSを通じて拡散される情報は、国境を越えて人々の心を掴み、新たな食トレンドを生み出す起爆剤となっている。そして今、世界を席巻しているのが、北欧、特にスウェーデン発のカラフルでユニークなグミ菓子だ。

TikTokがきっかけ? 世界が熱狂するスウェーデン菓子の魅力

今回のスウェーデン菓子ブームの火付け役は、インフルエンサーのMacy Grace Graves氏がTikTokで発信したことがきっかけだという。

氏の投稿を見た世界中の多くの人々が、その可愛らしい見た目と、アメリカでは珍しい独特の食感に魅了され、瞬く間に人気に火が付いた。

ニューヨーク・ポスト紙は、スウェーデン菓子専門店BonBonの共同設立者Robert Persson氏の「まるで麻薬がなくなったようなものだ。人々は中毒になっている」というコメントを紹介し、爆発的な人気ぶりを伝えている。

中でも特に人気が高いのが、Orkla社が製造する「Bubs」というソフトキャンディだ。アメリカのTikTokユーザーの間で「#bonbon」「#sweedishcandy」「#candyreview」といったハッシュタグと共に拡散され、一大ブームを引き起こした。

需要爆発! 世界的な品不足が引き起こす「負の側面」

しかし、この人気は、思わぬ事態を引き起こす。世界的な品不足が発生し、多くのファンがスウェーデン菓子を手に入れられずにいるのだ。

Orkla社のディレクターであるNiclas Arnelin氏は、イギリスのガーディアン紙の取材に対し、「春頃から需要が急増し始めたのですが、残念ながら夏の前に十分な在庫を確保できていませんでした」と、需要予測の甘さを認めている。

さらに同氏は、カナダのCBCニュースに対し、生産はスウェーデン国内とその周辺地域を優先せざるを得ない状況だと説明。「夏の間は工場の従業員に法律で定められた休暇を取らせなければならないため、工場を閉鎖する必要があります。夏の間は生産したものをすべて販売し、その後は在庫切れになってしまいました」と、供給不足の背景を明かしている。

ブームの裏側で浮き彫りになる「エシカル消費」という課題

今回のスウェーデン菓子ブームは、私たちに「エシカル消費」について改めて考えさせる良い機会を与えてくれていると言えるだろう。

私たちは、流行や情報に流されることなく、本当にその商品が必要なのか、そして、その商品の背景にあるストーリーまで意識を向ける必要がある。

スウェーデン菓子の魅力の一つとして、ニューヨーク・ポスト紙は、着色料や香料を使用せず、高果糖コーンシロップの代わりに本物の砂糖を使用している点を挙げている。

バンクーバーにあるスウェーデン菓子専門店KaramellerのオーナーMichelina Jassal氏は、カナダCBCニュースの取材に対し、「遺伝子組み換え作物やコーンシロップは使用せず、一般的なキャンディよりも材料が少ないのが特徴です」「従来のキャンディのように、気分が悪くなるほどの後味は残りません」と、スウェーデン菓子の魅力を語っている。

美味しさだけでなく、身体にも環境にも優しいという点が、多くの消費者の心を掴んでいるのかもしれない。

グローバル社会における新たな消費の形とは

世界中で巻き起こる食のブームは、私たちに多くのことを考えさせてくれる。それは、単なる流行として消費するのではなく、その背景にある文化や歴史、そして、地球規模で考えなければならない課題について、改めて目を向けるきっかけとなるだろう。

情報過多な現代社会において、私たちはどのように情報を取得し、消費行動に繋げていくべきなのか。今回のスウェーデン菓子ブームは、私たちにその難しさ、そして大切さを改めて突きつけていると言えるだろう。

Top image: © S_Chum/iStock
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