あの“バーキン”がWalmartで1万2千円…?SNSで話題の「Wirkin」現象、その光と影

誰もが一度は耳にしたことがあるだろう、高級ブランド「エルメス」のバッグ「バーキン」。数十万円から、場合によっては1000万円を超えることもあるその価格は、多くの人にとって手の届かない憧れの存在と言える。

しかし、もしもその「バーキン」そっくりのバッグが、驚きの価格で手に入るとしたら?しかも、それがファッションの民主化や、資本主義へのアンチテーゼとして、若者を中心に支持を集めているとしたら…?

あの「バーキン」が80ドルで?「Wirkin」は何故、ここまで注目されるのか

今、アメリカで「Wirkin」と呼ばれるバッグがTikTokを中心に大きな話題となっている。一体「Wirkin」とはどんなバッグなのか?

TeenVogueの記事によると、「Wirkin」はWalmart.comで販売されているバッグで、注目すべきはその価格だ。なんと、わずか80ドル。「バーキン」の価格が30,000ドル~100,000ドルであることを考えると、その差は歴然だ。

もちろん、素材や縫製のクオリティに違いはあるだろう。しかし、「Wirkin」はオリジナルの「バーキン」と同様の三角形のフォルム、フラップクロージャー、そして特徴的な金具のデザインまで再現しているという。

注目すべきは、TeenVogueの記事内で「『Wirkin』はTikTokで拡散され、ファッションの民主化、あるいは反資本主義の象徴として、若者を中心に支持を集めている」と指摘されている点だ。「Wirkin」は、単なる安価なコピー商品ではなく、現代社会の価値観を映し出すひとつの現象と言えるだろう。

模倣消費の先に、新しい価値観が生まれる?

近年、サステナビリティやエシカル消費への意識の高まりを受け、ファッション業界においても、大量生産・大量廃棄のビジネスモデルに対する疑問の声が年々大きくなっている。

そんな中、低価格でトレンドのアイテムを手に入れられるファストファッションは、若者を中心に人気を集めている。しかし、その一方で、ファストファッションが抱える労働搾取や環境問題などの負の側面も、広く認知されるようになってきた。

「Wirkin」は、このような時代背景の中生まれた、新たな消費行動と言えるだろう。高価なブランド品を模倣することで、既存のステータスシンボルを揺るがし、皮肉にもそれが、倫理的な消費行動を選択しているという満足感にも繋がっているのかもしれない。

「本当に大切なもの」を見極める、新しい時代の消費行動

TeenVogueは、「安価な模倣品を大量生産することが、真の意味でのファッションの民主化やサステナビリティに繋がるわけではない」と警鐘を鳴らす。

「Wirkin」現象は、私たちに「モノを持つこと」の本当の意味、そして現代社会における真の豊かさとは何かを問いかけているのではないだろうか。

流行やステータスに流されるのではなく、本当に自分が大切にしたい価値観を見極め、責任ある消費行動を選択することが、これまで以上に重要になっているのかもしれない。

Reference: teenvogue
Top image: © todamo/iStock
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