自由で刺激的な働き方「ワーケーション」で人生をアップデート
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いつものオフィスや自宅を飛び出して、気分転換しながら仕事ができる。 そんな、理想のワークスタイルを実現できる「ワーケーション」が、今、Z世代を中心に熱い視線を浴びている。
旅行先でリフレッシュしながらも、集中して仕事に取り組めるワーケーションは、仕事もプライベートも妥協したくないZ世代にとって、まさにうってつけの働き方と言えるだろう。
ワーケーションとは?
新しい働き方のカタチを解説
ワーケーションとは、簡単に言うと旅行先で仕事をする新しいワークスタイルのこと。2000年代にアメリカで使われ始めたとされており、「work(仕事)」と「vacation(休暇)」を組み合わせた造語で、その名の通り働く場所の制限なく、休暇を楽しみながら仕事もこなすといったスタイル。
いつものオフィスや自宅とは違う、新鮮な環境で仕事をすることで、発想力や集中力が高まり、生産性アップにも繋がるとも。フェでPCを開いて作業したり、ビーチサイドでリラックスしながらオンライン会議に参加したり……。場所にとらわれず、自由に働けるのが、ワーケーション最大の魅力だ。
リモートワークとは異なり、ワーケーションはあくまで「休暇」を前提としている点がポイント。 旅行先での観光やアクティビティを楽しむことを主軸に、空いた時間で仕事をするイメージで、メリハリをつけながら仕事と休暇を両立させることで、より充実した日々を送ることができるというところに新鮮味がある。
なぜ今、ワーケーションが注目されるのか?
時代の変化と若者のニーズを読み解く
ワーケーションが注目されるようになった背景には、IT技術の進歩、働き方改革の推進、そしてZ世代の価値観の変化という、3つの大きな要因がある。
まず、インターネット環境の整備やモバイルデバイスの進化によって、場所を選ばずに仕事ができる環境が整ってきたことが挙げられる。 高速Wi-Fiや高性能なノートパソコンが普及したことで、カフェやホテルなど、どこでも快適に仕事ができるようになったことは大きい。
また、政府が推進する「働き方改革」も、ワーケーション普及を後押しする要因の一つと言えるだろう。 テレワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方が推奨されるようになり、企業側もワーケーション制度を導入するケースが増えてきた。
そして、Z世代の価値観の変化も、ワーケーション人気に大きく影響している。 デジタルネイティブ世代であるZ世代は、従来の世代とは異なる価値観を持っている。「株式会社SHIBUYA109エンタテイメント」が運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.」が18歳から26歳のZ世代を対象に実施したアンケート調査では、「仕事よりもプライベートを優先したい」といった意見が7割近くに及んだという。プライベートを充実させたいというZ世代の意識は、オンとオフの切り替えを重視する傾向をより強めたと言えるのではないだろうか。さらに、新しい経験やスキルアップにも意欲的で、「成長できる環境」を求めているという結果も出ている。
このような価値観を持つZ世代にとって、ワーケーションは、まさに理想的な働き方。 従来の「会社に縛られる働き方」から脱却し、より自由で柔軟な働き方を求めるZ世代のニーズに応える形で、ワーケーションは急速に広がりを見せている。
実際、「矢野経済研究所」の調査によると、国内ワーケーション市場規模は2025年には2020年の約5倍となる3622億円規模に拡大すると予測。 ワーケーションは、もはや一時的なブームではなく、新しい時代の働き方として、今後ますます定着していくことが予想される。
Z世代が実践。刺激と自由にあふれる
ワーケーション最新事情
実際に、Z世代の働き方を反映したワーケーションの導入事例は増加傾向にある。
たとえば、食の福利厚生「チケットレストラン」のパイオニア「株式会社エデンレッドジャパン」は、福利厚生型ワーケーションの推奨を計り、アプリ開発支援を行う「株式会社ジョイゾー」では、2020年よりワーケーション手当を導入。宿泊費や交通費の一部を会社が負担することで、従業員がより柔軟な働き方を選択できる環境を整備し、創造性や生産性の向上を目指しているようだ。また、近年ではワーケーションに助成をつけられる「ワーケーション補助金制度」を導入する自治体も登場。北海道富良野市では、旅費の一部を助成する「ワーケーション展開費用助成金」を導入し、地域活性との連携を強めているようだ。
このほかにも、ワーケーションに最適な環境を提供する宿泊施設も各地に登場。長野県白馬村「UNPLAN Village HAKUBA」では、様々な宿泊プランを用意。周辺エリアのワーキングスポットと連携し、自然豊かな環境のなか、利用者が自在に余暇と仕事を両立させる環境を生み出している。
これらの事例からも分かるように、ワーケーションは単なる旅行先での仕事ではなく、新しい働き方やライフスタイル、自己成長の機会、そしてコミュニティ形成の場として、Z世代から高い支持を得ていることがわかる。
ワーケーションの未来
進化する働き方と広がる可能性
ワーケーションは、今後もますます進化していくことが予想される。5Gなどの高速通信技術の普及や、VR/AR技術の発展により、より快適で臨場感あふれるワーケーション体験が可能になるだろう。
たとえば、VR技術を活用すれば、自宅にいながらにして海外のリゾート地にいるかのような感覚で仕事をすることも夢ではなくなるかもしれない。また、AIによる業務効率化や自動化が進むことで、ワーケーション中に仕事に割く時間を減らし、より休暇や趣味に時間を使うことができるようになるだろう。
ワーケーションは、地方創生にも大きく貢献すると期待されている。地方に滞在することで、地域経済の活性化に繋がるだけでなく、都市部の人材が地方の魅力に触れることで、新たなビジネスやイノベーションが生まれる可能性も。
ワーケーションは、働き方やライフスタイル、そして社会全体に大きな変化をもたらす可能性を秘めている。新しい働き方を模索するZ世代にとって、ワーケーションは、自分らしい生き方を実現するための、大きなチャンスとなるのではないだろうか。