オフィス回帰で"リレーションシップ経済"が加速?若手社員が求めるつながりとは
コロナ禍で一時は当たり前となったリモートワーク。しかし、ここ最近、都心のオフィス街に活気が戻りつつある。株式会社日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)が2024年6月に発表した「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2024」によると、2023~2024年に入社した新入社員の主な勤務先は、約70%が出社という結果になった。リモートワークの広がりによって、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができるようになったいっぽうで、若手社員は再びオフィスへと戻りつつある。そこには、一体どんな変化が生まれているのだろうか。
「出社した方がやりやすい」5ポイント増加のワケ
同調査で興味深いのは、「仕事は出社したほうがやりやすい」と回答した新入社員の割合が、2020年と比較して5ポイント増加している点だ。この背景には、上司や先輩、同僚との距離が近くなり「関係性が近づいた」と感じる若手社員が増えていることがあるだろう。
完全リモートワークの広がりによって、コミュニケーション不足や孤独感を抱える人が増えているという調査結果もある。働く場所を自由に選択できるようになったからこそ、リアルなコミュニケーションを通して、安心感や帰属意識を得たいと考える若手社員が増えているのかもしれない。

ジョブ型採用人気上昇中! "自律"と"貢献"を求めて
同調査では、キャリア観についても興味深いデータが出ている。近年、注目を集めている「ジョブ型採用」を歓迎すると回答した新入社員は、全体の69.0%にのぼった。22年と比較しても、歓迎する割合は1.8%増加しており、若手社員の間で関心が高まっていることがわかる。
ジョブ型採用とは、職務内容や求められるスキルを明確にすることで、従業員が自身のキャリアパスを描きやすくする制度だ。自分のスキルや経験を活かせる仕事に就きたい、自律的にキャリアを築きたいという若者の価値観の変化が、ジョブ型採用への高まる支持に繋がっていると言えるだろう。

Z世代の"成長意欲"をサポートする、令和版・育成術
同調査では、Z世代である新入社員の育成に関するヒントも見えてきた。「上手くいかない経験を通じて学ぶ」という育成方法を支持する新入社員は約6割であるいっぽう、「失敗したくないので大きな仕事は任されたくない」という回答も58.4%と半数を超えている。「自分の行動や言動に自信がある」と回答したZ世代は、他世代と比較して最も低い結果となった。
これらの結果から、Z世代は、経験を通して成長したいという意欲を持ちながらも、失敗への不安や自信のなさから、新しい挑戦に踏み出せないというジレンマを抱えている可能性が見えてくる。このようなZ世代の育成には、短期的な目標設定と、小さな成功体験を積み重ねさせることが有効だろう。JMAMも、この調査結果を受け、「努力や工夫を見つけて評価することで、行動や姿勢を肯定的に捉えたフィードバックをすることが有効」と提言している。

変化を恐れずに、柔軟に対応していくこと
今回の調査結果から、Z世代の若手社員は、良好な人間関係を築ける職場環境や、自律的なキャリア形成を支援する企業体制を求めていることが明らかになった。リモートワークの浸透やジョブ型採用の拡大など、働き方が大きく変化する中で、企業は、従来の価値観や制度にとらわれず、時代の変化に合わせて柔軟に対応していく必要があると言えるだろう。