76%の社員が「オフィス外」での仕事の方が生産性が上がると回答 (米調査)
ビジネス環境がめまぐるしく変化する現代。社員の働き方を変えることで生産性が向上し、仕事と生活の両立を図るワークスタイル変革がアメリカで注目されている。何でも、「オフィスにいるよりも、外で仕事する方が生産性が上がる」という労働者が7割以上もいるんだそう。
「生産性が高いのは自宅」
労働者の50%が回答
米求人情報サービス「FlexJobs」が2015年夏に実施した、仕事に対する意識調査によると、労働者の76%が「仕事はオフィスの外で作業した方がはかどる」と感じていることが判明した。
2,600人以上の労働者を対象に行われたこの調査では、回答者の半数(50%)が「最も生産性が高いのは自宅」と回答。「カフェや図書館、コワーキングスペース」を挙げる人は12%に。いっぽう、オフィスでも「就業時間を過ぎ社員が帰った後」と14%が回答する結果となった。
オフィスでの作業が不人気なのは、通勤によるストレスや、同僚からの邪魔で作業が中断する、快適さに欠けるオフィス環境などを挙げる声が多かったという。
給料を下げてでも
ノマドワーカー希望!
企業で働く雇用者たちのなかに、より柔軟なワークスタイルを望む声が伺える。現に2013年以降、賃金を減額してでもオフィス外での勤務を含めた、フレキシブルな働き方を選択する人々が増えているとFlexJobsは伝えている。さらに、仕事の環境を従業員自らが選べるような柔軟性があった方が、会社へのコミットメントもより強いものになると、全回答者の82%が答えたそうだ。
「この調査結果だけを見れば、労働者たちのオフィス環境が必ずしも生産性を上げるのに適した場所ではないことを物語っています。これは企業にとっても大きな損失のはず」
FlexJobsのCEO、Sara Sutton Fell氏の見解を紹介する「Canadian Business Journal」には、モバイルやWi-Fi、クラウド技術の発展が、「もはや仕事空間を与えて従業員を拘束する従来のワークスタイルが不要なのかもしれない」といった提起まで登場。
“ノー・オフィス・デー”!?
週に数日は好きな場所で
さて、今回の調査で半数近くが“望ましい”とした、自宅での作業(在宅勤務)が新しいワークスタイルかといえば、そうではない。
今から10年以上前の2004年の段階で、すでに在宅勤務は珍しいものではなく、米国労働統計局によると非農業雇用者のおよそ25万人が、少なくとも月に数回は在宅勤務をしていたことが当時の「The Wall Street Journal」からも読み取れる。フリーランス職のいわゆるSOHOとは一線を画し、企業による在宅勤務が社会的にも受け入れられ始めた黎明期は、まさにこの頃のようだ。
以降、“会社勤めときどき自宅勤務者”を含む在宅勤務の労働者は、アメリカ国勢調査の統計を紹介する「The New York Times」によれば、2005年から2012年までの間に、およそ79%の増加を示しているという。
日本でも、ワークスタイル・イノベーションを本格的に取り入れる企業が増えつつあるという。将来的にノマドワーカーがもっと増えてくるはず。
Reference:FlexJobs, Canadian Business Journal , The Wall Street Journal , The New York Times