デミュア(demure)とは?言葉の意味と由来、「控えめな美しさ」と現代的魅力を徹底解説

SNSで見かける「demure(デミュア)」という言葉。なんとなく「控えめ」なイメージはあるけれど、実際の意味や読み方、特にZ世代の間で使われる新しいニュアンスはよく分からない、という方もいるのではないでしょうか。

ここでは、「demure」の基本的な意味から、TikTokで話題になった背景、そして今どきの解釈まで、その輪郭を明らかにして、言葉の持つ多面的な魅力を探ってみたいと思います。

「demure(デミュア)」とは?

「demure」は、英語の形容詞です。カタカナで表記する場合、「デミュア」や「ディミュア」に近い発音となります。まずは正しい読み方を覚えて、スムーズに使いこなせる第一歩としましょう。

英語の辞書で「demure」を引くと、「(特に女性や若い女性が)控えめな、物静かな、しとやかな、上品な」といった意味が見つかります。落ち着いた態度振る舞い服装などに対して使われることが多い言葉です。元々は、内気さや自己抑制からくる静かな様子を指していましたが、時には「見せかけのつつしみ深さ」といった少し皮肉なニュアンスを含むこともあるようです。

TikTokで話題「Very demure, very mindful」って?

「Very demure, very mindful」

最近、SNSでこんなフレーズを見かけませんか?意訳するならば、「とても控えめで、とても思慮深い)」といったところでしょうか。「demure」が注目されるきっかけとなったTikTokでのトレンドです。

単なる「おとなしさ」とは少し違う、日常の細やかな気配りや丁寧な所作を、ユーモラスで肯定的に表現する際に使われ、瞬く間に広がりをみせました。

Z世代が用いる「Demure」の新しいニュアンス

TikTokトレンドを通じて、Z世代の間では「demure」に新しい意味合いが加わりました。「控えめ」や「上品」といった元々の意味に加え、「気が利く」「洗練されている」「思いやりがある」「(少し意図的に)可愛らしい」といった、よりポジティブで多層的なニュアンスで使われる傾向があるようです。

自分の行動を客観視し、SNSでシェアする。そんなZ世代ならではの感覚が、「控えめに振る舞う自分」を楽しむような、新しい「demure」の捉え方を生んでいるのかもしれませんね。

なぜ今「demure」が気になる?
Z世代トレンドの背景を探る

では、「demure」という言葉が、なぜ今、特にZ世代の間で注目されているのでしょうか。その背景には、SNSでの拡散力はもちろん、変化する価値観既存のファッショントレンドとの関連性も見え隠れしています。

ここでは、トレンドが生まれたきっかけから、Z世代特有の自己表現との関わり、そして日本のファッションシーンとの接点まで、その理由を深掘りしていきましょう。

きっかけは海外TikToker

この「demure」トレンドを広めたのは、シカゴを拠点とするクリエイター、Jools Lebron氏(@joolieannie)だと言われています。彼女が2024年の夏頃から投稿し始めた、職場での振る舞いやメイクなどを「Very demure, very mindful」と表現する動画シリーズが多くの共感を呼び、ミームのように拡散したことがトレンドの始まりとなっていったようです。

「Brat Summer」との対比
「Demure Fall」と呼ばれる理由

この「demure」トレンドは、2024年夏に音楽シーンを中心に盛り上がった、奔放さや自己主張を前面に出すBrat Summer」というムーブメントとの対比で語られることもあるようです。

その流れから、「Demure Fall/Autumn」として、落ち着きや思慮深さを重視する秋のムードとして捉える向きもありました。ただし、これらは単なる対立ではなく、状況に応じて様々な自分を表現したいという、Z世代の流動的な価値観の表れとも言えそうです。

Z世代の多様な自己表現と「demure」の関係

Z世代は、SNSを通じて多様な価値観に触れ、「自分らしさ」を大切にする世代と言われています。その自己表現は、必ずしも派手さ強さだけではありません。周りの空気感を読み、調和を大切にする側面も持ち合わせています。

「demure」が持つ「上品さ」や「思慮深さ」は、彼らの多様な自己表現のパレットに加わった、新しい色彩の一つなのかもしれません。TPOや気分に合わせて、見せたい自分を使い分ける。そんな感覚が、「demure」への関心につながっている可能性が考えられます。

日本のZ世代ファッションとの共通点

「demure」という言葉は新しくても、その雰囲気に通じる要素は、日本のZ世代ファッションの中にも見つけることができます。

たとえば、SNSで人気のベージュやアイボリーでまとめる「淡色コーデ」。あるいは、韓国ファッションから影響を受けた「清楚系」や「きれいめ」スタイル。リボンやチュールが特徴的な「バレエコア」や、ロゴを主張しない上質な「クワイエット・ラグジュアリー(quiet luxury)」といったトレンドも、「demure」が持つ上品さ、控えめさ、繊細さと響き合う部分があるのではないでしょうか。

これらの既存トレンドに親しみがあれば、「demure」な雰囲気も自然に取り入れやすいはずです。

「demure」な雰囲気を
ファッションに取り入れる方法

「demure」の意味や背景がわかったところで、いよいよファッションへの取り入れ方を見ていきましょう。上品でありながら、どこか抜け感もある。そんな「demure」な雰囲気を演出するためのポイントを、カラー、素材、シルエットから解説します。

さらに、具体的なアイテム選びのヒントやコーディネート例、そしてファッション以外のメイクヘアスタイルについても触れていきます。今日からすぐに参考にできるアイデアが満載ですよ。

「demureファッション」の作り方

「demure」なファッションを目指すうえで大切なのは、ただ控えめにするのではなく、「上品さ」のなかに程よい「抜け感」をプラスすること。かしこまりすぎず、どこかリラックスした雰囲気を漂わせるのが、今っぽい「demure」スタイルの鍵となります。色選びや素材感、シルエットの3つの要素から、その作り方を探ってみましょう。

おすすめカラー:落ち着きのあるベーシックカラーやくすみカラー

基本となるのは、ベージュ、アイボリー、ホワイト、グレー、ネイビーといったベーシックカラー。これらを軸にすると、上品で落ち着いた印象になります。

また、Z世代に人気の「淡色コーデ」のように、くすみピンクやミントグリーン、ライトブルーなどのペールトーンくすみカラーを取り入れるのもおすすめ。柔らかく、優しい雰囲気を演出。派手な色や柄は控えめに、色数を絞ることで洗練された印象に。

 

おすすめ素材:柔らかさや程よいハリ感のあるものを選ぶ

素材選びも重要なポイントです。シルクやサテンのような光沢感のある素材、あるいはカシミヤや上質なウール、落ち感のあるレーヨンなどは、上品さを引き立てます。

いっぽうで、リネンやコットンなど、ナチュラルで少しリラックス感のある素材をミックスするのも効果的。程よいハリ感のある素材は、体のラインを拾いすぎず、きれいなシルエットを保つのに役立ちます。素材感でメリハリをつけると、単調にならず奥行きのあるスタイルに。

 

おすすめシルエット:体のラインを拾いすぎない、程よいゆとりを意識

ボディラインを強調しすぎない、程よくゆとりのあるシルエットが「demure」な雰囲気によく合います。たとえば、ジャストサイズよりも少しオーバーサイズのニットやシャツ、ふんわりと広がるAラインスカート、すとんと落ちるストレートパンツなど。ただし、全身をゆるいアイテムでまとめると、だらしなく見える可能性も。ウエストマークしたり、手首や足首を見せたりして、どこかにすっきりとした部分を作ると、バランス良くまとまります。

具体的なアイテム選び:何を取り入れると「っぽく」なる?

では、具体的にどんなアイテムを選べば「demure」な雰囲気に近づけるのでしょうか。トップス、ボトムス、ワンピース、アウターに分けて、おすすめのアイテムとその選び方のポイントをご紹介します。手持ちのアイテムにプラスするだけでも、ぐっと印象が変わるはず!

トップス:きれいめブラウス、シンプルなニットで上品に

顔周りの印象を左右するトップスは、上品さが鍵。とろみ素材のブラウスや、ボウタイ付きのデザイン、レースやフリルが控えめにあしらわれたものなどがおすすめです。ニットなら、ハイゲージのシンプルなものや、リブニットなどが活躍します。襟元が詰まりすぎず、程よく開いているデザインを選ぶと、抜け感を出しやすいでしょう。

 

ボトムス:ロングスカート、センタープレスパンツで大人っぽく

ボトムスは、落ち着いた印象を与える丈感やシルエットを選びたいところ。揺れ感がきれいなプリーツスカートやフレアスカート、タイトすぎないナロースカートなどが好相性です。パンツなら、きちんと感の出るセンタープレス入りや、ワイドすぎないストレートシルエットがおすすめ。足首が見える丈を選ぶと、軽やかさが出ます。

 

ワンピース:Aラインやウエストマークのあるデザインがおすすめ

一枚でスタイルが決まるワンピースは、「demure」ファッションの強い味方。ふんわり広がるAラインや、ウエストが程よくシェイプされたデザインは、女性らしさと上品さを両立できます。シャツワンピースや、シンプルなニットワンピースなども着回しやすくおすすめ。小花柄やドット柄など、柄を取り入れる場合は、ベースの色が落ち着いていて、柄が細かいものを選ぶと上品な印象に。

 

アウター:ジャケットやロングコートで洗練度アップ

アウターは、全体の印象を引き締める重要な役割を果たします。きれいめな印象を与えるなら、テーラードジャケットやノーカラージャケットがおすすめ。カジュアルダウンしたい場合は、カーディガン感覚で羽織れる軽やかなジャケットも良いでしょう。コートなら、トレンチコートや、シンプルなデザインのロングコートが定番。上質な素材のものを選ぶと、ぐっと洗練された雰囲気になります。

コーディネート例:参考にしたい組み合わせパターン

アイテム選びのポイントがわかったら、次は実際のコーディネートを考えてみましょう。ここでは、すぐに真似できる「demure」な雰囲気の組み合わせ例をいくつかご紹介します。手持ちの服で応用できるヒントが見つかるかもしれません。

淡色ワントーンでつくる上品カジュアルスタイル

ベージュのニットにアイボリーのロングスカートを合わせるような、淡い色でまとめたワントーンコーデ。全体を柔らかいトーンで統一することで、優しく上品な印象になります。足元はスニーカーで少しカジュアルダウンすると、こなれた「抜け感」が生まれます。バッグやアクセサリーで、少しだけ引き締めカラーを入れるのもポイント。

 

きれいめアイテム+スニーカーで抜け感をプラスするテクニック

たとえば、きれいめなブラウスとセンタープレスパンツの組み合わせ。これだけだと少しかっちりしすぎるところを、足元にあえてシンプルな白のスニーカーを合わせてみましょう。上品さはキープしつつ、程よいリラックス感が加わり、親しみやすい雰囲気に。通勤にも休日にも応用しやすいテクニックです。

 

バレエコア要素を少しだけ取り入れてトレンド感を演出

トレンドの「バレエコア」の要素をさりげなく取り入れるのもおすすめです。シンプルなニットにチュールスカートを合わせたり、足元にバレエシューズを選んだり。リボンモチーフのアクセサリーをプラスするのも良いでしょう。全面に取り入れるのではなく、ワンポイントで加えることで、甘すぎず、上品なトレンド感を演出できますよ。

ファッションだけじゃない
メイクやヘアスタイルで意識したいこと

「demure」な雰囲気は、ファッションだけで完成するわけではありません。メイクヘアスタイルも、全体の印象を左右する大切な要素。作り込みすぎず、ナチュラルで清潔感のある仕上がりを意識することがポイントになります。

メイクは、素肌感を活かしたベースメイクに、血色感をプラスする程度のチークやリップが基本。アイメイクも、ブラウン系のアイシャドウで自然な陰影をつける程度にし、アイラインやマスカラも盛りすぎないように注意しましょう。

ヘアスタイルは、きちんと手入れされた、ツヤのある髪が基本です。ダウンスタイルなら、毛先を軽く巻いたり、ストレートでまとめたり。アップスタイルにする場合も、きっちりまとめすぎず、少し後れ毛を残すなど、柔らかさを出すと良いでしょう。

「demure」を取り入れる時のポイントと
これからのトレンド予測

「demure」なスタイルは上品で魅力的ですが、一歩間違えると地味に見えたり、個性が埋もれてしまったりすることも。ここでは、そうならないためのバランスの取り方や、自分らしさを活かすヒント、そしてこのトレンドが今後どうなっていくかについて考えてみます。上手に取り入れて、自分らしいおしゃれを楽しむためのヒントを探しましょう。

やりすぎは注意!バランスよく見せるためのコツ

「控えめ」「上品」を意識しすぎると、全身がコンサバティブにまとまりすぎて、かえって老けて見えたり、地味な印象になったりする可能性も。大切なのはバランス感覚です。

たとえば、全身をベーシックカラーでまとめるなら、素材感で変化をつけたり、アクセサリーでアクセントを加えたり。どこかにトレンドのアイテムを一点投入するのも良いでしょう。また、ヘアスタイルやメイクで少し遊び心を加えるなど、トータルで見たときのバランスを考えることが重要です。

「自分らしさ」を大切に
他のファッションスタイルと組み合わせる

「demure」はあくまで選択肢の一つ。無理に全身をdemureスタイルにする必要はありません。Z世代のファッションの魅力は、多様なスタイルを柔軟に取り入れる点にもあります。

普段はカジュアルなスタイルが好きなら、トップスだけきれいめなブラウスに変えてみる。ストリート系のアイテムに、あえて上品なロングスカートを合わせてみる。そんなふうに、自分の好きなスタイルの中に「demure」な要素をミックスすることで、オリジナリティのある着こなしが生まれます。自分の個性や好きなテイストを大切にしながら、新しい要素として取り入れてみましょう。

これから「demure」はどうなる?
日本でのトレンドの可能性を考える

海外のSNS発のトレンドである「demure」ですが、日本で今後どのように受け入れられていくでしょうか。

言葉自体が爆発的に流行するかは未知数ですが、その根底にある「上品さ」「控えめさ」「洗練」「丁寧さ」といった価値観は、日本の文化やZ世代の感覚とも親和性があると考えられます。特に、既に人気のある「淡色コーデ」や「きれいめカジュアル」「バレエコア」といったトレンドと融合しながら、日本独自の形で解釈され、定着していく可能性は十分にありそうです。

ファッションだけでなく、丁寧な暮らしマインドフルネスといったライフスタイルの文脈で注目されるかもしれません。新しい言葉やトレンドに敏感でありつつ、その本質を見極めて自分らしく取り入れていく。そんな視点が、これからのファッションを楽しむ上で大切になってくるでしょう。

まとめ

「demure」という言葉から広がる、新しい価値観やファッションの楽しみ方をご紹介しました。トレンドは常に移り変わりますが、その中から自分に響くものを見つけ、自分らしく取り入れていくことで、ファッションはもっと自由で楽しいものになるはずです。

この記事が、あなたの魅力をさらに引き出し、新しい自分らしさを見つけるための一歩となれば幸いです。ぜひ、日々のコーディネートや振る舞いに「demure」のエッセンスを少し加えて、新鮮な変化を楽しんでみてください。

Top image: © iStock.com / Oleh_Slobodeniuk
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