Z世代の9割以上が日常的に使う「気まずい」という言葉の意味と背景にある心理とは

Fiom合同会社が運営するZ-SOZOKENは、Z世代を対象とした「気まずい」の感覚に関する調査結果を発表した。

この調査によると、若者の多くが日常会話の中で頻繁にこの言葉を使用しており、従来の辞書的な意味合いとは異なるニュアンスで定着している実態が明らかになったようだ。

かつてはネガティブな感情を表すだけだった言葉が、コミュニケーションを円滑にするためのツールとして変化している可能性があるという。

日常会話に浸透するキーワードとエンタメ化された感情

発表されたレポートによると、Z世代の93%が「気まずい」という言葉を日常的に使用していると回答したとのこと。

「よく使う」と答えた層だけでも半数を超えており、彼らの会話において欠かせない共通言語となっているらしい。

この背景には、YouTuberのとうあ氏が発信し2022年の流行語ともなった「きまZ」の影響があるという。

気まずい状況を特定のポーズや言葉で表現することで、ネガティブな空気を笑いに変える文化が定着したそうだ。単に不快な状況を指すのではなく、その場の空気を和ませるための回避術として、あるいは共有可能な「ネタ」として機能している側面があるようだ。

© Fiom合同会社

複雑な心情を一言に集約するコミュニケーション術

Z世代が使う「気まずい」は、会話が途切れた際の沈黙や、SNS上での微妙な空気感など、具体的なシチュエーションを指す言葉としても進化しているとのこと。

本来であれば不安や照れ、緊張、申し訳なさといった別々の言葉で表現されるべき複雑な感情を、彼らは「気まずい」という一言にパッケージ化しているらしい。

これは「ヤバい」や「エモい」と同様に、詳細な説明を省きつつ相手に感情を察してもらうための「共感の便利ワード」として扱われているようだ。

SNSでの常時接続や相互監視的な環境にある彼らにとって、場の空気を乱さずに自身のストレスをポップに伝えるための、一種の免罪符や潤滑油のような役割を果たしているのかもしれない。

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調査から見える若者の対人関係と価値観

今回の調査は全国の18歳から24歳を対象にインターネットを通じて行われたものだという。Z世代が繊細な人間関係を円滑に進めるために発明した独自のコミュニケーション術が、データから浮き彫りになったといえるだろう。

調査概要

調査名:Z世代のきまずいの感覚についての意識調査

調査対象:全国のZ世代(18歳~24歳)

調査期間:2025年7月~8月

調査方法:インターネットを利用したアンケート調査

有効回答数:n=299

調査分析:Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所 運営:Fiom合同会社)

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