フランスが「子どものスクリーン時間」に非常事態宣言?元首相らが提言

子どものスクリーンタイム問題が、ついに国家レベルの「非常事態」として扱われるかもしれない。

フランスの元首相Gabriel Attal氏らが、子どもの過度なスクリーン利用に対し、極めて強力な規制を求める共同声明を発表した。「何もしなければ、スクリーンとそのコンテンツが、ゆっくりと私たちの若者と社会全体を殺すだろう」と、その危機感をあらわにしている。

専門家の勧告から「非常事態」の呼びかけへ

この動きは、フランスの医療専門家たちが政府に対し、「6歳未満の子どもをスクリーンに一切触れさせないように」と勧告する公開書簡を送ったことを受けてのもの。

フランスではすでに、3歳未満の子どもへのスクリーン接触を推奨せず、学校内での携帯電話使用を禁止するなど、一定の規制が存在する。

しかし、今回の提言は、それを遥かに超える、家庭や個人の利用時間にまで踏み込んだ内容だ。

15歳未満はSNS禁止、夜間はデジタル門限も

Attal氏らが提案する規制案は、具体的かつ多岐にわたる。

まず、15歳未満のSNS利用を原則禁止。15歳から18歳に対しても、夜10時から朝8時までのアクセスを遮断する「デジタル門限」を設けるべきだという。

さらに、30分利用した後は、アプリの画面を「白黒」にするというSNSの魅力を減らすためのユニークなアイデアも。

18歳未満の利用時間は1日1時間に制限。彼らは、中国がTikTokに同様の規制を導入している例を挙げ、「今回ばかりは、この国から着想を得よう」と主張している。

依存度スコアやプラットフォームへの課税案まで

規制は利用時間だけではない。

食品の栄養成分表示「Nutri-Score」のように、アプリやプラットフォームに「依存度スコア」の表示を義務付ける案も。さらに、プラットフォームがフランスで得た収益の2%を、メンタルヘルス研究やケアのための資金に充てるべきだとも提言している。

マクロン大統領が設置した専門家委員会が、子どもの発達への懸念を表明してから1年。

今回の声明は、もはや個人の意識や家庭の教育だけに問題を委ねる段階ではないという、フランス社会の強い意志の表れなのかもしれない。

国会ではすでに、TikTokが未成年者に与える心理的影響に関する調査委員会も立ち上がっているとのことだ。

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