つい見失う。本当に正しい「教育」ってなんだろう?
「正しい大人になるためには、正しい教育を受けなければならない」。
これは、現代を生きる私たちにとって当たり前のような言葉になっていて、逆らいがたい強い力を持っています。
でも、それって本当に「正しい」こと?
そんな疑問を投げかけるサイレンスアニメ『Alike』を見てみましょう。
“坊や”が素敵なものを
見つけるけれど…
坊やの小さなカバンに、ありったけの教材を詰め込むパパ。
カバンはとっても重たいけれど、坊やは大好きなパパと一緒に学校へ向かいます。
ある日の通学路で、坊やはバイオリニストを目にします。
見たことのない楽器と、初めて聴く音色に興味津々。
坊やは目を輝かせて、誰も見向きもしないバイオリニストに近づきます。
でも…
「ほら、寄り道していないで学校に行くよ」とでも言わんばかり。
パパは、重たいカバンを坊やに差し出しました。
あのドキドキが
忘れられない
授業中も、今朝見たバイオリニストのことで頭がいっぱい。
「先生、見て。きょうの朝、ぼくとってもすてきなものを見つけたんだ!」
いいからアルファベットを書きなさい。
先生はそう諭すかのように、白紙のプリントを坊やの前に差し出します。
坊やの存在は、パパの心の支え
坊やが学校に行っている間、パパは仕事。自分の心をなくすかのように、淡々と目の前の業務に打ち込む毎日です。
仕事をしている間の体の色は、心のなかを表すかのように色褪せていきます。
学校が終わった坊やを迎えに行ったとき、ようやくパパは自分を取り戻したような気持ちになり、鮮やかな色を取り戻します。
でも、坊やは…
今日も大好きなバイオリンの絵を描きますが、先生はそれを見て怒るばかり。
「だれもぼくのことをわかってくれない」。
次第に、パパとも心が通わなくなります。
パパも、坊やの変化に気付きはじめます。だんだんと色褪せてしまっていることに…。
本当にこれでいいのだろうか。私は大切な坊やから、何か大切なものを奪っているんじゃないだろうか?
パパは悩み、そして、ひとつの答えを出すのでした。
バイオリニストの
いなくなった公園で
次の日。
パパは坊やを公園に連れていきます。しかしそこには、誰もいませんでした。バイオリニストは、いなくなってしまったのです。
落胆し、公園を背にして歩き出す坊や。それを見て、パパは公園の真ん中に立ち、バイオリニストの真似をします。
今まで聞き流してきた坊やの言葉に、そして小さな息子の気持ちに、耳を傾けるように。
その姿に、目を見開く坊や。
まわりの人たちは不思議そうな顔をしていますが、失いつつあった大切な気持ちが、どんどん蘇ってきます。
多くの人が自分を見失った“白い町”のなかで、この親子はとても幸せそう。
坊やの好きなものは、社会の色からはみ出しているのかもしれない。
それでも、自分の大切なものを失う必要性はないのだと、パパは小さな坊やを抱きしめるのでした。
強制や無視をすることなく
耳と心を傾けること
『Alike』の制作者は、こう語ります。
「あなたの子供たちが必要としていること、彼らがしたいと思っていることを知ること…。それがどれほど重要なことなのか、気づいて欲しいのです。学校や仕事に大きく影響を受けたとしても、どうか自分と自分の子供の大切な気持ちを見失わないでください。そして何より、子供たちの声に耳を傾けて、理解してあげて欲しいと思ったのです」
350万回ほど再生されている約8分のショートフィルムは、こちらから。ぜひ大切な人と向き合って、語り合ってみてください。