アジアで広がるコーヒーレイヴ、若者が夜ではなく昼間に集う理由
アジアの若者たちの間で、パーティーの概念を塗り替える新しいムーブメントが広がっている。
「コーヒーレイヴ」、それはアルコールではなくカフェインを片手に、ナイトクラブではなく日中のカフェや美術館に集うというもの。
健康や人との真の繋がりを求める現代的な価値観が生んだ、新しい社交のかたちかもしれない。
アルコールに頼らず楽しむ、シラフ志向のパーティー
コーヒーレイヴは、お酒を飲むことが前提にない、新しいスタイルのイベント。
「カフェクラビング」とも呼ばれ、主役は良質な音楽とこだわりのコーヒーだ。参加者はシラフだからこそ、音楽を深く味わい、クリアな意識で他者との交流を楽しめる。
もちろん、選択肢としてアルコールが提供される場合もあるが、あくまで自由。
この背景には、あえてお酒を飲まないライフスタイルを選ぶ「ソバーキュリアス」という考え方の広がりがあるようだ。
Z世代やミレニアル世代を中心に、従来の夜遊びに代わる、心身ともにより健全で、充実した時間を求める意識が高まっていることの表れだろう。
開催場所は美術館やアイスクリーム店
アジア各都市の個性的な試み
このムーブメントの面白さは、その開催場所のユニークさにもある。
香港のイベント「Social Club Series」は、チケットを買うまで会場が分からないという仕掛けで参加者の期待感を高める。過去には、山頂のアイスクリーム店がダンスフロアに変わったことも。
タイのバンコクでは、コーヒーショップとバーが共同で「Morning Affair」を主催。
タイ式アイスコーヒーを片手に、DJの音楽に合わせて人々が自然に交流する空間作りが人気だという。また、シンガポールの「Beans&Beats」は、こだわりの音楽をシラフで楽しむことを目指し、ヴィンテージストアや美術館といった意外な場所でイベントを企画している。
新しいコミュニティを育む日中のカルチャー
コーヒーレイヴは、一時的なイベントにとどまらない。同じ価値観を持つ人々が集うことで、新しいコミュニティが生まれている。
バンコクの「Before Midnight」は、ペット同伴可能なパーティーを開催し、大きな反響を呼んだ。また、ソウルの「Paccha Coffee Party」には、俳優のヨ・ジング(Yeo Jin-goo)さんや世界的なDJも参加したというから驚き。
アルコールという共通項に頼らず、音楽やコーヒー、あるいは創造性といったテーマで繋がる。日中のオープンな空間で育まれるこのカルチャーは、若者たちの価値観の変化を映す、注目すべき社会現象といえるだろう。






