若者世代に広がる「ビールに氷を入れる飲み方」専門家の間でも賛否
近年、若者世代を中心に、ビールに氷を入れて飲むという習慣が広まっているようだ。
この飲み方に対し、一部の消費者は「さっぱりしている」と肯定的な意見を持つ一方で、伝統を重んじる人々からは否定的な声も上がっているとか。
バーのマネージャーは、この傾向を実際に目にしていると報告しているが、業界の専門家の間では意見が分かれている。
氷入りビール、その実態と背景
1990年代後半から2000年代半ばに生まれた世代は、アルコールに関する伝統的な慣習に挑戦し続けている。
その一つが、ビールに氷を入れる飲み方である。
TikTokなどのオンラインプラットフォームでは、この飲み方を紹介する動画が多数投稿されており、あるユーザーは「これが一番さっぱりしてビールを飲む方法だ」と述べ、氷とライム、塩でグラスの縁を飾ったモデロビールを飲む様子を公開した。
別のインフルエンサーも、ノンアルコールビールに氷を加えて「とてもさっぱりする」とコメントしている。
この傾向に対し、オンライン上ではさまざまな反応が見られる。
「私もそうやって飲む」と肯定する意見や、「夏には良い選択肢」とする声もある。しかし、「氷以外なら何でも良い」「吐き気がする」といった批判的なコメントも少なくない。中には、「グラスを冷凍庫に入れれば氷は必要ない」と提案する人もいるようだ。
国際的な広がりと伝統との対立
この氷入りビールの流行は国際的にも広がりを見せており、海外にそのルーツがある可能性も指摘されている。
『Fox News』の記事によると、イギリスのバー『The Turfcutters Arms』のオーナーであるサイモン・ガーバット氏は、若い飲酒者がサイダーやラガー、時にはIPAにも氷を入れていると述べる。特に暑い日には、冷えた飲み物の方がおいしく感じられるとガーバット氏は認めているようだ。
また、一部の旅行者が海外でこの習慣を身につけているとも語り、TikTokユーザーの中にはタイでこの飲み方が一般的であると指摘する声や、フランス起源であると主張する意見もある。
しかし、業界関係者の中には否定的な見方を示す人もいる。
イギリスとアイルランドにパブチェーンを展開する『Wetherspoons』の創設者であるティモシー・マーティン氏は、この習慣に対し「現代において神聖なものは何もない」と強く批判している。
一方で、ミシュランの星を獲得したシェフであり、『Momofuku』レストランの創設者であるデイビッド・チャン氏は、自身のポッドキャストで氷入りビールを擁護し、それを拒否する理由は「料理におけるスノビズムだ」と述べている。チャン氏は、「文化的な遺物としてではなく、飲み物として飲め」と主張し、氷入りビールも「おいしい」と感じることもあるという。
イギリスを拠点にノンアルコールクラフトビールを製造する『Mash Gang』の共同創設者兼ヘッドブルワーであるジョーダン・チャイルズ氏は、自身はまだ試したことがないものの、すぐに否定するつもりはないと語る。
チャイルズ氏は伝統を尊重しつつも、新しい体験を楽しむことを妨げるべきではないとし、「もしこれが一つの世代の楽しみ方なら、それで良いと思う。私も試してみるつもりだ」と述べている。






