イマイチなワインほど美味しくなる、不思議なカクテル「Kalimotxo」って知ってる?

安い赤ワインを使ったあるカクテルが、いまブルックリンの若者を中心に人気が高まってきているらしい。それが「Kalimotxo(カリモーチョ)」と呼ばれる、めちゃくちゃシンプルでコージーで陽気なカクテル。

赤ワイン+コーラが
ベストマッチング!

必要なのは赤ワインとコーラ、以上。他には何も要らない。王道を無視してキンキンに冷やしたワインに、こちらも冷えたコーラを注ぐだけ

驚くほどさわやかで口当たりがよく、それでいて甘すぎないカクテルが出来上がる。これだけで、タンニンの渋みも無縁だし、割れる心配をしながらワイングラスを使う必要もなし。

レシピサイトをのぞいてみると、やれワインとコーラは1:1だとか、スライスしたレモンやら氷を入れるなどあるが、いちいちそんな細かいことは気にしないのがスペイン流。好きなように自在に割って楽しめばいい。

同じく赤ワインをベースにジンジャー・エールで割ったカクテル「キティ」もいい。でも庶民派感覚で楽しむならば、断然カリモーチョをおすすめしたい。

スペイン人のお酒デビューは
カリモーチョからが圧倒的

ところでこのカクテル、別名「貧乏人のサングリア」なんて呼ばれ方もしているようだけど、全くの別モノと考えたほうがいい。

ちなみに、スペインのレストランでサングリアを注文するのはほぼ外国人観光客。スペイン語の「sangre(サングレ:血)」を語源とすることからも、サングリアがスペイン発祥であることは間違いなさそう。けれど、元々は古くなった赤ワインの味をフルーツを入れることでごまかすことが、サングリアの目的だとか。

古いワインをレストランで提供するのはイメージダウン。だから地元の人たちが集まるレストランやバーでは、サングリアはまず出されないってこと。

ところが、スペインでもカリモーチョは10代の若者たちに大人気(スペインは16歳から飲酒可能)で、「お酒デビューはカリモーチョから」というティーンが多いそう。

「発祥はメキシコ」説も

さて、「カリモーチョにはコカ・コーラ」という声も耳にする。その起源には諸説あるようだが、どうやらスペインではなくメキシコ発祥という見方が有力のようだ。

というのも、スペインの植民地時代が300年近く続いたメキシコには、早くからワイン文化も流入していた。そこに19世紀後半より、コカ・コーラがアメリカより輸入・販売されるようになった記録が残っていることから、おそらくこの地で赤ワインとコーラを割って飲むスタイルが生まれた、と考えられている。

「赤ワインの口当たりを良くするためにロジックが通っている」とは、最近のカリモーチョ人気を、「Mic.com」で解説するブルックリンの人気レストラン「BKW」のMichel Gordonシェフだ。

タンニンが強くて若いワインをコーラが入ることで中和させ、渋みをトーンダウンさせる。ゆえに、安ワインが向くというワケ。

BKWでは、カリモーチョの上にマスカルポーネのジェラートをトッピングしたものが大人気らしい。これもゴキゲン間違いなしだろうな。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。