米国で“ゲーマー高齢者”が増加中、50歳以上のプレイヤーは約3割に
ビデオゲームはもはや若者だけの娯楽ではないようだ。
米国の50歳以上の数千万人が日常的にゲームをプレイしているという。その背景には、ゲームがもたらす多様な影響と、プレイを支える技術の進化があるらしい。
『The Guardian』の記事がその実態を伝えている。
米国のゲーマー人口、50歳以上が約3割に
エンターテインメントソフトウェア協会(ESA)の近年のデータによると、米国のビデオゲームプレイヤー約2億500万人のうち、50歳以上が5700万人を占めているという。これは全体の28%に相当する数字だ。
具体的には、60代と70代の約半数、80代の36%が週に一度は何らかのゲームをプレイしているとのこと。
自身のプレイを配信し、多くのフォロワーと交流しながら収入を得ている高齢ゲーマーも存在するという。彼らの存在は、ビデオゲームが高齢者にとっても社会的つながりや自己表現の場となりうる可能性を示している。
ゲームの種類によって異なる脳への影響
ビデオゲームが高齢者の心身に与える影響については、様々な研究が行われているようだ。パズルゲームやフィットネスゲームが、それぞれ視覚記憶やバランス感覚の改善に役立つ可能性が示されている。
一方で、モントリオール大学の心理学准教授であるGregory West氏が2018年に行った研究では、異なる結果が報告された。
この研究によると、Call of Dutyのような一人称視点シューティングゲーム(FPS)を長時間プレイした参加者は、脳の海馬領域における灰白質の減少が見られたという。
海馬の容積減少は、生涯を通じた神経精神疾患のリスクと関連付けられている。対照的に、スーパーマリオ64のような3Dオープンワールドゲームをプレイした参加者には、同領域の改善が見られたとのこと。
ただし、West准教授自身、この研究は高齢者に特化したものではないと断った上で、オンラインでのマルチプレイがもたらす社会的な刺激というプラスの効果も無視できないと指摘している。
プレイ継続のためのアクセシビリティという課題
高齢者がゲームを続ける上では、関節痛や視力の低下といった身体的な問題が障壁となる可能性がある。トロント・メトロポリタン大学のKris Alexander准教授は、高齢ゲーマー層の拡大に伴い、アクセシビリティツールの需要が高まるかもしれないと見ている。
実際に、元海軍のWill氏は、手術の後遺症で手や指がしびれるため、Azeron Cyborg IIという特殊な形状のゲーミングキーパッドを使用しているそうだ。
その他にも、音声制御技術やペダル、3Dプリントで作成可能なコントローラーの改造部品など、身体的な制約を補うためのツールが開発されている。
こうした技術の進化が、より多くの人々が年齢に関わらずゲームに参加できる環境を整えつつあるのかもしれない。






