高齢者よりも若者の「がん罹患率」が急増しているワケ
いま、G20などの先進国を中心として、若年層における早期がん罹患率が飛躍的に上昇しているらしい。
若者なら思わずゾッとしてしまう衝撃的なトピック。英『フィナンシャル・タイムズ』誌が報じたところによれば、20~34歳のがん罹患率は、ここ30年で最高レベルにあるとのこと。対照的に、75歳以上の高齢グループは2005年時のピークから減少傾向にあるのだという。
働き盛りで健康であるはずのミレニアム世代(26-42歳)は、なぜここ数年でがんに対して著しく脆弱になってしまったのか。
答えをを求めた科学者たちは、前世紀半ばに始まった栄養と生活様式の変化がパズルを解く鍵になると確信して研究をはじめ、考えられる主な要因を3つに分類した。
01.
「超加工食品」の摂取増加
まず研究を通して分かったのは、最大の要因が「超加工食品」と呼ばれる添加物を多く含んだ飲食物の摂取増加であること。
菓子パンや清涼飲料、ソーセージが超加工食品の代表的な例として知られているこれらの飲食物。しかし、これらがアメリカ人の摂取カロリーの60%以上、イギリス人の57%を占めていることはあまり知られていない。ましてや、食事に含まれる超加工食品の量が10%増えるごとに発がんリスクが2%上昇することを知っている者はどれくらいいるだろうか。
02.
マイクロバイオームの変化
研究者らは食事との関連性を探る中で、マイクロバイオームの変化ががんへの罹患率を高めている可能性に焦点を当てた。
マイクロバイオームとは私たちの腸内に生息する約100兆個の微生物で、健康全般において重要な役割を果たす。しかし先ほどの超加工食品を摂取し続けると、マイクロバイオームの構成が変化して「個人の健康に害を及ぼす存在」になってしまうというのだ。
若者のがんが最も増加しているのは消化器系(結腸直腸、食道、胃など)であるらしく、これは食生活とがんの関連性を裏付ける決定的証拠となる。
03.
生活習慣の乱れ
最後に考えられるのは、1950年代以降に起こったさまざまな外的要因。
座りっぱなしの生活や睡眠パターンの変化、ブルーライトの増加。挙げ始めればキリがなさそうな現代人の乱れたライフスタイルは、たとえ楽であっても無意識のうちに体を蝕んでいく。だからこそ、すぐにでもはじめられる定期的な「生活習慣の見直し」って本当に大事。
がんの可能性は誰にでも。いつまでも。
以上が、「米国メイヨークリニック」による科学者たちの見解。これらの要因はすべて並行して起こっているため、犯人を一つに絞り上げることは難しいのだそう。
だが、若年性がんの増加は単に医療制度に対する懸念だけではなくて、経済にとっても問題視されている。研究者らによれば、がんから生き残った人は心血管疾患や二次がんなどの長期疾患にかかるリスクが高く、将来的には医療費の負担がさらに高額になる恐れがあるという。
がんは早く見つけ、早く治療すれば確実に治すことができる。しかし初期段階では自覚症状がないため、「がん検診」を受けにいくのがオススメとのこと。(メタボ検診や健康診断ではがんの特定ができないため、注意!)
どの世代ががんを発症しても、おかしくない時代。あまりにも突飛な話で現実味が湧かないけど、「健康でいること」ってどんなモノよりも価値があるよ。