このAIスピーカー、「高齢者の孤独」を改善してくれるらしい……!
「アレクサ!」「OK グーグル!」
呼びかけると反応し、電気をつけたり音楽を流してくれる。
現代の“生活の味方”たるAIスピーカー(スマートスピーカー)は、今や一人で暮らす高齢者の生活に寄り添い、幸福感を向上させるツールとしても注目されているらしい。
高齢者向けAIスピーカー「ELLI-Q」
ピクサーのランプを連想させるこのガジェットは、人との交流が不足し、孤独を感じる高齢者を支援するためのロボット。
“老齢・老い”の象徴である北欧の女神エリにちなみ、「ELLI-Q」と名付けられた。
孤独な高齢者のサポートに特化したELLI-Qは、登録した連絡先に電話をかけたり、画像を送信したりといったコミュニケーションをサポート。
さらに、オーナーが水を十分に摂っているか、薬を服用したかを確認し、リマインドもしてくれる。日中に運動がしたければ、エクササイズの提案もするという。
また、2022年11月に生成AIテクノロジーを導入したことで、ELLI-Qはより自然で高度な会話技術を手に入れ、一緒にゲームをしたり、状況に応じたレシピ提案までできるようになったそうだ。
「孤独」が高齢者に及ぼす影響
アメリカ国立老化研究所の職員によると、高齢者の20〜30%ほどが「孤独を感じる」と認識しているという。
人生において孤独を感じやすくなる時期は何度もあるが、特にライフステージの変化と身体的な制限を伴う高齢者の孤独は、社会的交流が難しくなるという点で改善が求められている。
そして孤独感は、心臓病や肥満、免疫力の低下、不安、うつ病、認知機能の低下といった、心身への悪影響をも引き起こす可能性があり、高齢者の健康をケアする上で無視できない課題なのだ。
AIロボットは高齢者の助けになるのか
「AIスピーカーが高齢者の孤独感を軽減できるか」に関する研究は、現状では限られた数しかない。
ただ、ELLI-Qの開発元である「Intuition Robotics」がニューヨーク高齢者局と提携して行った検証によれば、ELLI-Qを使用したユーザーの95%が「孤独感が軽減され、幸福度が向上した」と回答したという。
この検証結果は、孤独感の完全解消までは行かずとも、AIスピーカーは高齢者の幸福度を向上する有力なツールになれる可能性を示唆するものと言えるだろう。
Intuition Roboticsの努力は、AIスピーカーのさらなる可能性を見出すアイデアだ。
他メーカーの追随も含め、高齢者の間でもAIスピーカーが普及することで、その有無が疾病率や寿命がどのように変化するのか、研究が次のレベルへと進むことを期待したい。