家計の救世主「給食レシピ」に注目集まる。コスパ栄養術で食卓を豊かに
食材価格の高騰が続く中、家計への負担は日増しに重くなっている。特に子どもの成長期においては「栄養は妥協できないが、食費は抑えたい」という切実な悩みを抱える家庭も多いのではないか。
こうした状況を受け、利用者数No.1レシピサービス「クックパッド」の調査により、給食関連レシピの検索数が昨年比で1.4倍に急増していることが明らかになった。
これは、給食現場で培われた「コスパ栄養術」が、現代の家庭の食卓で大きな注目を集めていることの表れといえる。
給食現場の知恵「コスパ栄養術」とは
農林水産省の調査によると、8月末のコメ価格(5kg)は3,891円と前週から115円上昇しており、主食の価格高騰は家庭の食費を圧迫しているようだ。
このような状況下で、学校給食の現場では栄養士が限られた予算の中で必要な栄養を確保するため、「節約メニュー」の開発に知恵を絞っている。鶏肉に高野豆腐を加えてボリュームアップする「かさ増し」や、割安な食材を活用した調理法など、様々な工夫が凝らされているという。
こうした給食現場の「コスパ栄養術」は、管理栄養士監修による科学的根拠に基づいた栄養設計がされている。
さらに、コストパフォーマンスに優れているだけでなく、大量調理を前提とした効率的な調理法が家庭でも再現しやすいように工夫されている点も特徴だ。子どもたちが「おいしい」と評価するメニューであることも、家庭での導入を後押しする要因となっているだろう。


検索急増の人気給食レシピ
クックパッドの調査では、「バンサンスー」の検索数が昨年比1.8倍、「わかめごはん」が1.9倍に増加している。これらは家庭で再現しやすい、栄養価の高い人気給食メニューの代表例といえる。
中でも、長野県塩尻市の学校給食から生まれた「キムタクご飯」は、キムチとたくあんを使った混ぜご飯として漬物文化を広める目的で開発されたオリジナルメニューだ。
こうした地域発信のユニークな給食レシピも、家庭の献立の選択肢を広げているようだ。給食レシピの検索数の増加に加え、実際に家庭の献立に定着していることを示す「レシピ保存数」も大幅に増加しており、「今日の給食がおいしかった」という子どもの声がきっかけで検索・保存する行動パターンも多く見受けられるとのこと。
特に、保育園に通う子どもの保護者の間では「園では食べるのに家庭では食べない」といった悩みが広がり、「給食」と「保育園」を組み合わせて検索するケースも多いという。




地域ブランディングとしても広がる給食レシピブーム
給食レシピへの関心は、全国の自治体による情報発信によってさらに加速しているようだ。東京都足立区では、95%以上の小中学生が「おいしい」と評価する「日本一を目指す給食」として話題となり、『東京・足立区のおいしい給食レシピ』が2024年12月に発売され、1カ月で重版となった。
他にも新潟県や兵庫県丹波篠山市など、多くの自治体が給食レシピ本を発売し、地域活性化にも繋がっているとのこと。
昔ながらの定番メニューに加え、チリコンカンやビビンバのような国際色豊かなメニュー、山口県発祥の「チキンチキンごぼう」など、多様な給食メニューが家庭に浸透しているようだ。
令和の給食は、単なる栄養補給の場という枠を超え、現代の家庭の食卓を豊かにする「食卓術」として、その役割を広げているといえる。






